生活習慣病とは?~病気の種類から治療、予防まで~

この記事のポイント

  1. 「生活習慣病」は、生活習慣が原因である病気の総称
  2. 「生活習慣病」は、気づかないうちに進行するので予防が大事
  3. 長年の習慣を自力で変えるのが難しい場合は、サルスクリニックへご相談を!

「生活習慣病」という言葉を聞いたことはあっても、どんな病気のことを指すのか、何が原因なのか、治療しないといけないのかなど、具体的なことは知らない方も多いのではないでしょうか。今回は、生活習慣病についての基礎知識をお伝えします。

生活習慣病とは

生活習慣病は、生活習慣が原因で起こる病気の総称です。つまり「生活習慣病」というひとつの病気があるのではなく、高血圧や2型糖尿病、脂質異常症など、食習慣や運動習慣が原因となるものをまとめて「生活習慣病」と呼んでいるのです。これらは加齢とともに発症しやすくなることから、1996年までは「成人病」と呼ばれていました。しかし、成人でなくても発症の可能性があること、成人であっても生活習慣の改善により予防が可能であることから、「生活習慣病」という名前を当時の厚生省(現在の厚生労働省)が提唱しました。

どんな病気が含まれるの?

「生活習慣病」を定めた当時の厚生省の資料によると、生活習慣病は「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」とされています。明確な範囲は定義されていませんが、一般的には以下のようなものが含まれます。

  • 高血圧症
  • 脂質異常症
  • 2型糖尿病
  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 高尿酸血症/痛風
  • 肥満症/メタボリックシンドローム
  • 脂肪肝
  • アルコール性肝炎
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD、肺気腫や慢性気管支炎)
  • 肺がん
  • 大腸がん
  • 歯周病

これらのうち多くはかなり進行するまで自覚症状がほとんどなく、病気に気づきにくいという共通点があります。

それぞれどんな病気なの?

上記のうちいくつかについて、どのような病気なのか見てみましょう。

高血圧症

高血圧とは、血液が血管の内側に加える圧力が高くなりすぎた状態のことです。高血圧の状態が長く続くと「高血圧症」と診断され、脳心血管病(脳卒中や心疾患)のリスクを高めます。詳しくは別の記事でも紹介しています。

脂質異常症

血液中に脂質が多すぎる状態です。脂質が多すぎると、血管が硬くなります。血管が硬く狭くなってしまうと血液の流れが妨げられ、脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気を引き起こしやすくなってしまいます。

2型糖尿病

インスリンという体内のブドウ糖を正常に保つ働きのあるホルモンがうまく機能しなくなることで、血液中にブドウ糖があふれた状態になります。この状態が「高血糖」です。腎臓で再吸収できる糖分量を超えると、過剰な糖分は尿と一緒に排出され「糖尿病」となります。糖尿病が進行すると、腎臓の機能が低下したり、脳梗塞のリスクを高めたりします。こちらも詳しい解説は別の記事をご覧ください。

肥満症・メタボリックシンドローム

「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求められるBMI値が25以上であると肥満、35以上になると高度肥満と診断されます。また、健康診断などで体重とは別に腹囲を測ったことがある方も多いかと思いますが、これは内臓脂肪量の目安となります。内臓脂肪が多い肥満で、高血圧・高血糖・脂質異常のうち2つ以上にあてはまるものを「メタボリックシンドローム」と呼びます。内臓脂肪がたまると、血糖値や血圧、中性脂肪、コレステロール値が高くなりやすく、結果的に先に述べたような病気を引き起こしやすくなります。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

主に長年の喫煙が原因で発症する病気です。肺の機能が低下し、息切れや咳、痰などの症状が現れます。進行すると肺炎になりやすく、肺だけでなく虚血性心疾患や糖尿病など、全身の病気にかかりやすくなります。COPDは令和元年の男性の死亡原因の8位、令和2年の10位となっています。できるだけ早く気付いて禁煙すること、栄養療法や運動療法で体力を維持することが必要となります。

進行のしかた

生活習慣病は次のように、徐々に進行していきます。

第1段階

不健康な生活習慣により、生活習慣病の原因をつくってしまう段階です。塩分や脂質、エネルギーが過剰な食生活や、運動不足、喫煙、過度の飲酒、過度のストレスなどの習慣を継続すると、次の生活習慣病予備軍の段階に入ってしまいます。

第2段階

生活習慣病の予備軍となっている段階です。生活習慣の問題を改善せずに過ごすと、肥満や高血圧、脂質異常、高血糖といった状態になります。この段階ではほとんど自覚症状がなく、健康診断を受けて初めて自分の血圧や血糖の高さに気付く方が多くいらっしゃいます。気付いた時点で生活習慣の改善に取り組めば、一時的な高血圧や高血糖で済み、病気に発展するのを防ぐことができます。

第3段階

ここが「生活習慣病」と呼ばれる段階です。第2段階での生活習慣の改善が不十分だと、慢性的に血圧や血糖、コレステロール値などが高い状態が続き、病気として診断されます。ここからは生活習慣の改善に加え、薬物療法が必要な場合も多く出てきます。

第4段階

生活習慣病が重症化すると、虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)や脳卒中(脳出血・脳梗塞等)になったり、糖尿病の合併症として人工透析が必要な腎症や失明に至る可能性があります。

第5段階

第4段階の病状が悪化すると、半身麻痺や認知症などになる可能性が高まり、生活機能が低下し要介護状態になったり、死亡に至ったりというケースに繋がります。

予防や治療の方法

では、どのように予防や治療を行えばよいのでしょうか。症状が重くなれば薬での治療が必要になりますが、まずは生活習慣の改善が大切です。食事や運動について、特にどのようなことに気をつけるべきなのか、チェックしていきましょう。

食事

①食べすぎない

基本的には主食・主菜・副菜を組み合わせて、栄養バランスの良い食事をとることが大切です。そして、いくらバランスがよくても全体の量を食べすぎてしまうと、肥満につながります。1日の食事で摂取すべきエネルギーは、年齢や性別、身体活動量などによって、一人ひとり違います。厚生労働省は次のように示しています。

身体活動レベルが低い(1日のうち座っている時間がほとんど)

18~69歳 男性:2200kcal
18~69歳 女性:1800kcal

身体活動レベルが普通(座り仕事が中心だが、歩行・軽いスポーツ等を5時間程度は行う)以上
18~69歳 男性:2600kcal
18~69歳 女性:2200kcal

たとえば「リモートワークで一日中家の中でデスクワークをしている女性」が一日に摂取すべきエネルギーは1800kcalです。1日3食を同じ比重で食べるとすると、1食あたり600kca以内に抑えないといけないということです。一度、自分が一日にどれくらいのエネルギーを摂取しているか計算してみることをおすすめします。

②塩分を控えめに

高血圧でなくても、食塩摂取量の目標値は、男性で1日8g未満、女性で7g未満とされています。たとえば、味噌汁は1杯で塩分が約1.5g、カップ麺は1つで約5.5gも入っています。日本人の1日あたりの食塩摂取量は10g程度であるため、ほとんどの人は控えめにしようと心がける必要があるということです。

③野菜や果物を意識的に摂取する

ビタミンや食物繊維が豊富に含まれている野菜を積極的に取りましょう。野菜の摂取目標量は1日350gと、厚生労働省に発表されています。トマトは1個で100g前後、レタスは1玉で200g前後なので、意識しないと目標量に到達できない場合も多いのではないでしょうか。一方、果物は野菜と違って糖質を多く含んでいるため、1日100gが目安量です。バナナやみかんなら1個、りんごは1個の半分が約100gとなるため、うっかり食べすぎてしまわないように気をつけながら摂取しましょう。

これらを習慣づけた上で、すでに生活習慣病やその予備軍となっている方は、それぞれの病気で特に気をつけるべきポイントをおさえなければいけません。たとえば、血圧が高い方はより塩分摂取を少なくするように、高尿酸血症の方は肉を多く食べすぎないように、高脂血症の方は飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取量を減らして食物繊維を多く摂るように、などです。それぞれの病気で気をつけるべき食生活については別の記事で紹介していますので、気になるものがあればぜひチェックしてみてくださいね。


運動

運動は、体重減少や血圧低下、認知症予防など、多くの良い効果があります。厚生労働省が運営する「スマート・ライフ・プロジェクト」では、運動量の目標を次のように掲げています。

18~64歳:歩行以上の強度の身体活動を毎日60分、息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分
65歳以上:強度を問わず、身体活動を毎日40分

近年リモートワークが推進され通勤時の歩行などがなくなったことによって、より運動不足になった方も多いのではないでしょうか。目標に達しないとしても、今より10分多く身体を動かすだけでも、健康寿命(健康で、日常生活に支障なく生きられる期間のこと)が伸ばせるとされています。エスカレーターではなく階段を使ってみたり、仕事の合間にストレッチをしてみたりするだけでも効果がありそうですね。
体重減少や中性脂肪の低下、血圧の低下には特に有酸素運動が効果的であったり、筋力トレーニングは心血管系疾患の予防に役立ったりと、運動の種類によって健康への効果が違う面があります。すでに生活習慣病や予備軍の方は、専門家に相談して自分にあった運動プログラムに取り組んでみるのもいいかもしれませんね。


アルコールを控えめにする

アルコールを飲みすぎると肝臓に大きな負担をかける他、高血圧症や脂質異常症、がん、脳萎縮、うつ病など、さまざまな病気の原因となります。一般的には健康な男性では、1日にビールなら500mL、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯分程度、女性や高齢者はその半量ほどまでは摂取しても問題ないと言われています。つい飲みすぎてしまわないよう気をつけましょう。


禁煙

がん、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、COPDは特にたばこの影響が大きい病気です。たばこにはニコチンやタールをはじめとした有害物質が多く含まれており、それらが身体に悪影響を及ぼします。しかし、ニコチンは依存性の高い物質で、自力で禁煙することが難しい方も多くいらっしゃいます。そのような場合は医療機関の禁煙外来を利用して、貼り薬や飲み薬の力も借りながら取り組んでみましょう。

効率よく生活習慣を改善したい方は、サルスクリニックへ!

生活習慣病は一度なってしまうと、治療が長期戦になる場合が多くあります。長年続けてきた生活習慣を変えることは簡単ではないので、自分一人で取り組むと挫折しやすくなってしまいます。サルスクリニックは、医師だけでなく管理栄養士も常駐し、できるだけストレスなく治療していけるよう、お一人おひとりにあった改善方法をご提案します。減量外来や禁煙外来、各種健康診断などさまざまなプランをご用意しています。治療したい方も現在の自分の健康状態を知りたい方も、ぜひお気軽にご相談ください。

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