2型糖尿病とは~診断基準や原因、症状から治療までわかりやすく解説~

この記事のポイント

  1. 2型糖尿病には遺伝的要因と環境的要因がある
  2. 2型糖尿病は症状が現れにくいため検査が必要
  3. 食事の改善や薬の服用のほかにも周りのサポートが重要

糖尿病は、1型、2型、その他の特定の機序、疾患によるもの、妊娠糖尿病に分けられます。
1型糖尿病は、膵臓からインスリンが分泌されにくくなることで血糖値が高くなり発症し、2型糖尿病は正常または高濃度のインスリンに体が反応しなくなり、時間の経過とともに膵臓で十分なインスリンが作られなくなることで発症します。

今回は、2型糖尿病について基礎情報を解説します。

2型糖尿病の原因

2型糖尿病は、遺伝的要因と環境的要因が組み合わさって引き起こされると考えられています。

遺伝的要因

2型糖尿病を発症する方は、血縁者の中に2型糖尿病患者、または高コレステロール血症、高血圧、肥満などの糖尿病に関連する病気を持っていることが多いです。2型糖尿病を発症するリスクは、血縁者に糖尿病の方がない人と比較して、5~10倍高くなります。

環境的要因

偏った食事や運動不足による体重の増加は、2型糖尿病の発症リスクを高めます。特に肝臓や腹部に多くの脂肪が蓄積されていると、インスリンの効きが鈍くなります。初めのうちは、膵臓がインスリンをより多く分泌することで血糖値は保たれますが、病状が進行するにつれ十分なインスリンが分泌できなくなると血糖値が高くなり、また頑張りすぎたことにより膵臓の機能が低下してしまうのです。

2型糖尿病の症状

2型糖尿病と診断される前は、ほとんどの人には全く症状がありません。症状がある人には、次のようなものがあります。

  • 頻繁に尿意をもよおす
  • 喉の乾きを感じる
  • 目のかすみ

2型糖尿病の検査

糖尿病を診断するために行う主な検査は、血糖値(糖分)の検査です。この検査には以下のような方法があります。

随時(ランダム)血糖値検査

随時(ランダム)血糖値とは、食事をした時間を気にせず採血した血糖値のことで、1日中いつでも検査をすることができます。随時(ランダム)血糖値の正常値は、70~140mg/dLです。

空腹時血糖検査

空腹時血糖値検査とは、8~12時間(通常は一晩)飲食をせずに行う血液検査です。空腹時血糖値の正常値は100mg/dL以下です。

Hg(ヘモグロビン)A1C検査

HgA1C検査は、過去2~3ヶ月間の平均血糖値を測定します。HgA1Cの正常値は4〜5.5%です。HgA1C検査はいつでも(食前または食後に)行うことができます。

経口ブドウ糖負荷試験

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、特殊なブドウ糖溶液(通常はサイダー味)を飲み血糖値の変化をみる検査です。ブドウ糖溶液を飲む前に血糖値を測定し、1時間後と2時間後にも血糖値を測定します。OGTTは検査手順の不便さから、妊娠中の女性を除き一般的には検査に用いられません。

2型糖尿病の診断

2型糖尿病は以下の基準により、血糖値が正常型、境界型(血糖値が正常よりも高く、将来の糖尿病のリスクを示す)、糖尿病型に分類されます。

正常型

空腹時血糖値:正常値は100mg/dL以下
HbA1C:正常値は4〜5.5%

境界型

空腹時血糖値:100〜125mg/dL
HbA1C:5.6〜6.4%
OGTT検査2時間後血糖値:140~199mg/dL

糖尿病型

糖尿病型の診断には以下のような項目があります。

  1. 糖尿病の症状があり、随時血糖値が200mg/dL以上の場合
  2. OGTTの2時間後血糖値が200mg/dL以上の場合
  3. 空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合
  4. HbA1Cが6.5%以上の場合

1~3のいずれかと4が確認されると、糖尿病となります。
1~4のいずれか一つだけ当てはまる場合は、再検査を行い再び確認されれば糖尿病と診断されます。
※初回検査の判定にHbA1C検査を行った場合、再検査ではそれ以外の判定方法を含めて診断します。

1型と2型の判定

1型糖尿病か2型糖尿病かの診断判定が難しい場合もあります。血縁者に2型糖尿病の人がおらず、以下のような危険因子が重なっている場合は1型糖尿病を疑う必要があります。

  • 血縁者に甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、セリアック病などの特定の自己免疫疾患の人がいる
  • 頻尿、体重減少などの症状がある
  • 2型糖尿病の治療を開始しても血糖値が高い場合

2型糖尿病の治療

2型糖尿病の方は、血糖値を正常または正常に近い状態に保つために、定期的なモニタリングと継続的な治療が必要です。治療には、生活習慣の改善(食生活の改善や体重減少を促す運動など)、薬物療法などがあります。

生活習慣の改善

食事と運動は、糖尿病管理の基本です。食事を変えることで、体重や血圧、インスリン分泌量をコントロールするなど、2型糖尿病の様々な側面を改善することができます。糖尿病の管理と体重を改善するために最も重要なことは、清涼飲料水や一部のジュースなどの糖分の多い飲料を一切飲まないことです。また、食事の量を減らすことも非常に重要です。

2型糖尿病治療薬

2型糖尿病の治療には、さまざまな薬がありますが、ほとんどの人はメトホルミンと呼ばれる薬を服用することになります。メトホルミンは、体のインスリン抵抗性(効きが悪いこと)を改善し、血糖値の上昇を抑えます。血糖値とHbA1Cレベルがまだ目標よりも高い場合、メトホルミンに加えて別の血糖降下薬を服用することになります。

2型糖尿病との生活

2型糖尿病との生活は、ストレスの多いものです。血糖値を定期的にモニタリングし、食事に気を配り、定期的に運動し、薬を服用しなければなりません。また糖尿病は血糖コントロールがうまくいかないと合併症を発症する可能性が高くなるため、不安になり眠れなくなってしまう方もいらっしゃいます。家族や友人を巻き込んで、食事の改善に努めたり、助け合えたりできるような環境をつくると良いでしょう。

治療や運動療法、食事療法など、不安なことについては医師や管理栄養士に相談し、糖尿病とうまく付き合っていくことが重要です。
サルスクリニックでは、食事や運動などのアドバイスも行っております。自分の体の状態を知り、自分に合った食事や運動の方法を知ることができると、日頃の生活に合った無理のない予防・改善をすることが可能です。もちろん、異常値に達していない方でも予防の一環としてご利用いただけます。不安な方はぜひお気軽にご相談ください。

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