空腹時血糖値とは?
空腹時血糖値とは、10時間以上食事を取らない状態で測定した血糖値のことです。一般的には、朝食を食べずに採血したものを指します。
健康診断や人間ドックでよく目にする血糖値の値は、一定ではありません。健康面に問題のない方では、食事やおやつを食べると上昇し、しばらくすると低下するなど、1日の中でも変動します。また、運動や入浴などによっても血糖値は変わります。しかし、糖尿病の方や将来的に糖尿病になるリスクが高い方は、空腹時の血糖値も高い状態が続きます。
1日の中で変動する血糖値のうち、空腹時血糖値は比較的変化が少ないタイミングで測定した値です。一方で、食事のタイミングを考慮したうえで調べる血糖値を随時血糖値といいます。
食後血糖値だけでなく食事の影響がない空腹時血糖値も含めて、日々の血糖値にの変動に対して糖尿病のリスクを判断することが大切になります。
空腹時血糖値の基準値
空腹時血糖値が126mg/dL以上となると、糖尿病の恐れがあります。空腹時血糖値の値により、糖尿病型、正常型、境界型に分類されます。
126mg/dL未満でも、空腹時血糖値が110~125mg/dLの人は“境界型”と呼ばれ、いわゆる糖尿病予備群の状態であることを示しています。
糖尿病型(糖尿病を強く疑う値)
空腹時血糖値 126 mg/dL 以上
正常型
空腹時血糖値 70~109 mg/dL* 未満
*100~109mg/dLは正常高値とされる
境界型(糖尿病予備群:糖尿病型にも正常型にも分類されない値)
空腹時血糖値 110~125mg/dL
血糖値が高くなる原因
私たちが食事で摂取した糖質は小腸で吸収された後、血液中に移行しブドウ糖となります。食後に血糖値が上昇すると、血糖値を下げるインスリンというホルモンが膵臓から分泌されます。このインスリンのはたらきによってブドウ糖は細胞の中に取り込まれ、私たちが生きるためのエネルギー源となります。
しかし、インスリンが十分に分泌されなかったり、はたらきが弱まったりすると、血液中のブドウ糖が過剰にあふれてしまいます。つまり、血糖値が高い状態となります。
血糖値の上昇について、詳しくはこちらの記事でもご紹介しています。
空腹時血糖値が正常でも注意が必要な場合もある
前述のとおり、空腹時血糖値が高い場合は糖尿病の恐れがあります。ただし、仮に空腹時血糖値が正常の範囲内であっても、それだけで糖尿病の心配はないといい切れるわけではないため注意が必要です。
糖尿病を診断する検査には空腹時血糖値のほかにも、血液検査で分かるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)や75gブドウ糖負荷試験があります。実際の診断では、これら3つの検査を組み合わせて判断が行われます。また現在空腹時血糖値が正常型である方でも、75gブドウ糖負荷試験の値が高い方の場合は、将来的に糖尿病型へ進行する確率が高いとされています。
Hb1Ac
Hb1Ac(ヘモグロビンエーワンシー)とは、血液検査で分かる数値の1つです。その数値から過去1~2か月分の平均血糖値が分かるため、採血した日の食事や運動の内容に影響されず糖尿病のリスクの有無を知ることができます。
生活習慣病の予防のために行われる特定健診の場合、Hb1Acの値が5.6~6.4%で特定保健指導が、6.5%以上で医療機関の受診が推奨されます。
75gブドウ糖負荷試験
75gブドウ糖負荷試験とは、糖質が150g以上を含まれる食事を3日以上摂取し、10~14時間の絶食。その後、早朝空腹時に75gブドウ糖を含む溶液を服用し、服用前後30~60 分おきに血糖値を測定する試験のことです。
空腹時血糖値の検査に加え、75gブドウ糖負荷試験の施行が強く推奨されるのは血糖値が境界型、または現在糖尿病の疑いが否定できない方です。
さらに、血糖値が正常高値の方や将来的に糖尿病発症リスクが高い方、特に高血圧・脂質異常症・肥満など動脈硬化のリスクを持つ方にも75gブドウ糖負荷試験の施行が推奨されています。
糖尿病には早期発見・早期治療が大切
空腹時血糖値は糖尿病診断のための重要な目安であり、糖尿病が見つかるきっかけとなることがあります。しかし、血糖値のみで判断することは難しいため、さまざまな検査を組み合わせることで将来のための予防や治療を進めていきます。
サルスクリニックでは、診察や治療だけでなく、生活習慣病に関する各種検査や診断、生活改善に向けたアドバイスを行っています。過去に血糖値が高いと指摘されたことがある、健康診断の結果で気になる点がある、生活習慣を改善して将来の病気を予防したいなどの思いがあれば一度ご相談ください。
オンライン診療(初診を除く)も行っているため、直接の来院が難しい場合にはぜひ利用してみてください。