糖尿病の改善に糖質制限は効果があるの?

この記事のポイント

  1. 糖質制限による糖尿病改善の明確な効果は確認されていない
  2. もしも食事の糖質を抑える場合は、自己流ではなくまず医師や管理栄養士に相談を
  3. 糖尿病の食事療法は患者さんの病気の程度や食生活によって異なる

最近よく耳にする“糖質制限”ですが、糖尿病の改善効果はあるのでしょうか。今回は糖質制限の効果や、糖尿病の食事療法の基本などについて紹介します。

糖尿病に対して糖質制限は効果があるのか?

糖質制限とは、文字どおり栄養素のうち糖質(炭水化物)のみを制限する食事習慣を指します。もともとは、炭水化物の摂取量を制限したところ肥満が改善されたという海外の研究結果から、糖尿病治療に糖質制限が有効ではないかと注目を集めました。

しかし、現時点ではまだ安全性と有効性が確認できておらず、糖尿病の患者さんにはすすめられないとされています。

糖質制限で肥満が改善される仕組みとは?

炭水化物には、糖質と食物繊維が含まれています。炭水化物に含まれる糖質は主にブドウ糖として吸収され、全身の細胞に送り込まれた後、活動エネルギーの元として消費されることが一般的です。しかし、炭水化物の摂取量が多く活動量が少ないと、体の中でブドウ糖が消費されずに余り、脂肪に変換されてしまいます。

そこで、糖質制限で炭水化物の摂取量そのものを減らせば、体の中で余るブドウ糖がなくなる分、脂肪もつきにくくなると考えられています。

また、炭水化物を摂取すると一時的に血糖が高くなり、“インスリン”と呼ばれるホルモンが分泌されることが知られています。インスリンは血液から全身の細胞へブドウ糖を送り込み血糖を下げるはたらきを持つほか、余ったブドウ糖を脂肪に変換するはたらきを持つといわれています。

糖質制限で炭水化物の摂取量を減らすと、血糖が上がりにくくなることによりインスリンのはたらきが穏やかになり、ブドウ糖が脂肪に変換されにくくなると考えられています。

ただし日本人の場合、炭水化物の摂取量が多すぎても少なくても死亡リスクが上昇することが分かっています。そのため、実際には炭水化物を含めたさまざまな栄養素をバランスよく食べることが非常に大切です。

糖質が多く含まれる食品とは?

糖質が多く含まれる食品には、ご飯、麺類、パンなどの主食のほか、じゃがいも、さつまいもなどのいも類、かぼちゃやとうもろこし、れんこんなどの野菜、ぶどう、バナナなどの果物類が挙げられます。そのほか、スナック菓子などのお菓子類や日本酒、ビールなどの醸造酒、果物ジュース、炭酸飲料などにも多く含まれます。

炭水化物を食べるときの注意点

前著のとおり、主に主食となるご飯、麺類、パンなどの炭水化物には多くの糖質が含まれており、糖質制限中はなるべく避けたい食べ物といえます。しかし、同じ炭水化物でも精製されていない、いわゆる“茶色い炭水化物”であれば、糖質以外の栄養素も豊富に含むため、積極的に摂取してもよいといわれています。

具体的に茶色い炭水化物とは、全粒粉や玄米、雑穀、そば粉などを指します。たとえば玄米の場合、白米にはない胚芽やヌカがついているため、白米と比較して食物繊維や栄養素が豊富に含まれているといわれています。

一方で摂取を控えたいのは、精製された“白い炭水化物”です。具体的には小麦粉を使ったパンやパスタ、うどんのほか、白米などが挙げられます。特に白米は摂取量が増えると糖尿病にかかりやすくなるともいわれています。

糖質制限による健康への影響は?

糖質を制限したうえで必要なエネルギーを確保しようとすると、タンパク質や脂質の摂取量が増え、脂肪や塩分の取りすぎにつながること、食物繊維やビタミン、ミネラルが不足しやすくなることなどが考えられています。

そのため、糖尿病の方に関しては、食事から糖質だけを極端に減らすダイエットなどを自己判断で実施することは避けましょう。

糖尿病食の基本――何を食べるべきか

食事療法は糖尿病における治療の中心ですが、基本となるのはエネルギー(カロリー)摂取量の制限です。

また、食事療法はずっと続けていくものなので、無理なく継続できる内容にすることが大事です。何か特定のものをたくさん取ったり減らしたりするのではなく、バランスを大事にしましょう。

糖尿病のガイドラインによると、1日のエネルギーのうち、50~65%を炭水化物で摂取し、タンパク質は20%以下、残りを脂質で取ることが目安となっています。また、野菜、海草、玄米、麦ごはん、キノコ類などに含まれる食物繊維は積極的に取るべきで、1日20g前後の摂取が推奨されています。 

1日の総エネルギー摂取量(カロリー)は目標とする体重や年齢、病気の状態により異なるため、具体的な食事の内容については、運動量、好みなどを考慮したうえで医師や管理栄養士と相談して決めましょう。

糖尿病の食事療法は患者さんの病気の程度や年齢によって変わるため、生活習慣や食事の好みに合わせて楽しみながら続けられるプランを立てることが重要です。そのため、自己流ではなく、医師や管理栄養士などの専門家と相談しながら自分に適切な食事療法を見つけましょう。

糖尿病の食事や糖質制限について知りたい方はサルスクリニックにご相談を

糖尿病の治療で何より大事なのは、食事療法を無理なく長期的に続けていくことです。自分に合った食事療法を見つけ、続けていくためにもまずはクリニックを受診してみましょう。

日本橋と武蔵境にあるサルスクリニックは、駅近の通いやすい立地とカフェのような院内でくつろいで受診いただけます。管理栄養士が常駐しているので、糖尿病に対する食事指導について相談できるのはもちろん、継続までサポートいたします。また、各種検査、健診も行っていますので、治療の結果を定期的に確認できるほか、定期的な健診で糖尿病の早期発見も可能です。

サルスクリニックでは、たとえ病気であっても患者さんがその人らしく生活できるようにサポートします。ご自身に合った食事療法について、ぜひ一度ご相談ください。

※サルスクリニックの健康診断(保険適用外)について、詳しくはこちらをご覧ください。

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