糖尿病の主な検査
採血して血糖値とHbA1cの2つをみる
糖尿病の診断のためには、血液検査で“血糖値”と“HbA1c”の2つを調べます。
糖尿病ではインスリン*がうまく機能しなくなることで、血液中にブドウ糖があふれた状態になります。この血液中のブドウ糖の濃度を示したものが血糖値です。血糖値は食事によって左右されるので、空腹時の血糖値を調べるために食後10時間以上空けた状態で検査を行うことが多いです。
一方、HbA1cとは、赤血球にあるヘモグロビン**のうち、ブドウ糖が結合したヘモグロビンがどのくらいの割合で存在しているかを示しています。血糖値が高いほどブドウ糖が結合したヘモグロビンの量は多くなるためHbA1cも高くなります。
血糖値が採血時点での血糖値を示すのに対し、HbA1cは過去1~2か月における平均血糖値を示しています。2つの数値を確認して糖尿病の基準を満たしていれば、1回の血液検査で糖尿病と診断されることもあります(詳しい診断基準については後述します)。
*インスリン:膵臓から分泌されるホルモンの一種で、体内のブドウ糖を正常に保つはたらきを持つ
**ヘモグロビン:赤血球の中にあり全身に酸素を運ぶ役割を担っている
尿糖がきっかけとなることも
糖尿病は尿検査で分かる尿糖(尿の中に含まれる糖分)がきっかけとなり見つかることもあります。通常、尿から糖が検出されることはありませんが、血糖値が160~180mg/dLくらいまで高くなると、尿の中にもブドウ糖が出てくることがあります。
ただし、尿糖の結果は個人差によるものが大きかったり、尿糖が陽性でも血糖値に異常はない腎性糖尿*のこともあったりするため、尿糖だけで何らかの病気を診断することはできません。糖尿病の有無を調べるためには血液検査が必須です。また、尿糖を調べる検査キットは薬局でも販売されており、自宅でも簡単に調べることができます。
*腎性糖尿:腎臓が糖を排出しやすくなっている状態
詳しく調べる検査
75g経口ブドウ糖負荷試験
血液検査で、血糖値やHbA1cが糖尿病といえる数値ではないものの正常より高い場合や、高血圧や肥満などがあり糖尿病を発症するリスクが高い場合などには、 “75g経口ブドウ糖負荷試験”という検査を行うことがあります。
検査では、10~14時間の絶食後、まずは早朝の空腹状態で採血をして血糖値を測定します。その後、75gのブドウ糖を含んだ液体(サイダーのようなもの)を飲み、服用後30分後、60分後、120分後に血糖値を測定します。摂取前と摂取後の血糖値の推移を見ることで、ブドウ糖を処理する能力を調べることができます。糖尿病の確定診断や糖尿病予備軍(糖尿病の前段階)の診断のために行います。
なお、全ての測定が終了するまでは水以外の摂取や喫煙は控えていただき、安静を保っていただきます。また、血糖値が著しく高い場合には、さらに高血糖を引き起こしてしまうため実施できないことがあります。
糖尿病の診断基準
糖尿病の診断では、血糖値およびHbA1cの数値が以下の“糖尿病型”に該当するかどうかを確認して診断を進めていきます。糖尿病型となる数値と診断条件は以下のとおりです。
<糖尿病型>
- 血糖値……空腹時血糖値126mg/dL以上
随時血糖値*200 mg/dL以上
75g経口ブドウ糖負荷試験の2時間後の血糖値200 mg/dL以上
(上記のうちいずれか)
- HbA1c……6.5%以上
*随時血糖値……食事のタイミングに関係なく測定した血糖値のこと
<糖尿病と診断される条件>
糖尿病の診断条件には主に3つのパターンがあります。
- 糖尿型を2回確認。たとえば、1回の血液検査で血糖値とHbA1c共に糖尿病型を認めた場合や、別々の日に行った血液検査で2回とも血糖値が糖尿病型であることを確認した場合。なお、HbA1cだけが糖尿病型の場合は診断できず、2回のうち最低1回はいずれかの血糖値で確認する必要がある。
- 血糖値が糖尿病型であることを1回確認し、なおかつ糖尿病の典型症状(口の渇き、多飲、多尿、体重減少)や糖尿病による網膜症を認める場合。
- 過去に糖尿病と診断された証拠がある場合。
また2回の血液検査で、血糖値の異常はなくとも2回ともHbA1cの異常が認められたり、1回でも血糖値の異常が認められたりした場合には、3~6か月後に血糖値とHbA1cを調べる再検査を行います。
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