尿糖が出たら糖尿病?2+、3+、4+ が出たら重症?考えられる理由と対策について

この記事のポイント

  1. 尿検査で尿糖が陽性になるパターンは3つ
  2. 簡易的な検査でも「尿糖4+」は危険
  3. 再検査・治療のためにも、クリニックにご相談を!

健康診断などで行われる尿糖検査。陽性だった場合、特に尿糖(4+)などの高い値が出ると不安に感じることもあるでしょう。ここでは尿糖(4+)のような高値が出たときはどういう状態なのか、また、考えられる原因についてご説明いたします。

尿糖が陽性になる原因

尿糖とは、尿中に含まれる糖のことです。通常、血液中の糖は腎臓でほぼ100%再吸収されるため、尿中に糖はほとんど含まれていません。尿検査で尿糖が陽性になるパターンは、

  1. 腎臓が再吸収できる量を上回る糖が血液中に存在した場合
  2. 腎臓で糖を再吸収できる量が減っていた場合
  3. 妊娠している場合
  4. 検査の尿の濃度が濃かった場合

のいずれかです。

ではこの3つはなぜ起こるのか、もう少し具体的にご説明します。

①腎臓が再吸収できる量を上回る糖が血液中に存在した場合

治療していなかったり、治療していても管理が不十分な糖尿病や、食後高血糖、妊娠糖尿病やステロイド糖尿病などで血糖が上昇しているために起こります。この場合はしっかり治療する必要があります。

②腎臓で糖を再吸収できる量が減っていた場合

糖尿病や腎臓病などで処方されるSGLT2阻害薬(ダイエット目的に自費で購入されるケースもあります)を飲んでいるときは、尿と一緒に糖が体外へ排出され、尿糖が陽性になります。また、一部の遺伝性尿細管疾患で、単に糖を再吸収する機能が低下していて尿糖が陽性になることもあります。これを腎性糖尿といいます。しかし、どちらのパターンであっても治療の必要はありません。(尿糖が多く多尿や尿路感染症を引き起こす場合は、医療機関に相談する必要があります。)

③妊娠している場合

妊娠中は妊娠糖尿病の可能性もありますし、正常でも腎臓の濾過量(仕事量)が増えているため、尿糖が検出されることもあります。

④検査の尿の濃度が濃かった場合

検査前の食事や水分摂取の制限などで尿が濃くなると、試験紙を尿に浸して判定する定性検査という検査方法では、陰性であっても陽性の結果が出てしまうことがあります。こちらも本来は陰性であり問題がないため、治療の必要はありません。反対に水を飲みすぎて尿が薄まっていたり、ビタミンCを内服していると、陽性であっても陰性と判定されてしまうことがあります。これらの場合は、再検査の際に尿の濃度を確認することである程度判断可能です。誤った結果にならないようにするために、検査前は脱水に注意し、水の飲み過ぎやビタミン剤の内服も控えたほうが安心です。

尿糖4+はどんな状態?

一般的に尿糖が陽性になるのは血糖が160〜180mg/dl以上とされています。ただし定性検査の場合、尿の濃度によって解釈が異なってくることがあります。また、検査キットは製造会社により、1+、2+、3+、4+の基準が異なります。つまり、尿糖の有無を把握するための簡易的な検査であって、数値はそこまで厳密なものではありません。それでもやはり、2+、3+、4+と数値が高くなるに従って、高血糖である可能性が高くなります。よって定性検査であっても「尿糖4+」が出た場合は、かなりの高血糖であることが予測されます。尿量が増えたり喉が渇いたり、身体がだるいと感じるような高血糖の症状が日頃から出ていないか、思い返してみましょう。合併症を引き起こさないためにも必ず再検査を受けて、自分の状態をしっかり確認し、適切な治療を受けましょう。

尿糖が出たらどうすればよい?

妊娠中の方であればまずはかかりつけの産婦人科医にご相談ください。
糖尿病を治療中なのに尿糖が出てしまい管理不十分が疑われる場合には、主治医にご相談ください。
初めて指摘された方や、繰り返し陽性になっているが詳しい検査や治療はしていないという方は、内科を受診されることをお勧めします。一般的にはまず再検査を行い、尿の濃度が適正かどうか、尿糖陽性になるような薬剤を飲んでいないかどうか、血液検査でHbA1cと血糖値をチェックします。必要に応じて糖負荷試験や尿生化学検査、24時間蓄尿検査を追加し、糖尿病もしくは糖尿病予備軍の診断をします。

放っておくとどうなるの?

糖尿病は初期には自覚症状がほとんど出ないため気づきにくい病気です。しかし、気づかずに放っておくと、血管を徐々に蝕んでいきます。進行すると次のような合併症を引き起こす可能性があります。

  • 神経の合併症(糖尿病性神経症):末梢神経障害や自律神経障害など全身にわたりしびれや感覚異常、自律神経失調をきたします。
  • 腎臓の合併症(糖尿病性腎症):進行することで腎機能が低下し、透析や腎移植が必要になることがあります。
  • 目の合併症(網膜症):進行すると失明の危険があります。
  • 脳卒中、心筋梗塞、足壊疽、免疫機能低下など。

糖尿病はさまざまな問題を引き起こすことがあるため、現時点で症状がないからといって油断せず、気になる症状がある方は早めに医療機関に相談してください。

治療方法

糖尿病は、食事療法、運動療法、薬物療法と、さまざまな方法を組み合わせながら治療していきます。糖尿病の方が食事面で気をつけるべきことや、重症化して透析が必要になってしまった場合のことなど、サルスクリニックのコラムでは様々な角度から糖尿病について解説しているのでぜひそちらもご覧ください。

早めにクリニックにご相談を!

糖尿病は生活習慣が原因のことが多いため、自分ひとりの力で治すにはかなりの精神力と時間を要します。特に、尿糖4+の結果が出た方は、必ず再検査をしましょう。そして「やはり糖尿病だった」という場合には、できるだけ効率よく治療し合併症を予防しましょう。
サルスクリニックでは、医師だけでなく管理栄養士も常駐し、お一人おひとりの病状だけでなく、ライフスタイルにも合わせた治療プランをご提案します。
すでに糖尿病と診断済みの方も、尿検査で陽性と言われた方も、今の自分の状態がわからないという方も、どなたでもご相談ください。

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