ADPKDとはどのような病気?
ADPKDとは、腎臓に嚢胞という液体のたまった小さな袋が多数できてしまう遺伝性の病気です。嚢胞は年齢とともに数が増えたり、大きくなったりすることで、徐々に腎臓の機能が低下していきます。
日本語では常染色体優性多発性嚢胞腎と呼ばれ、「ADPKD」は英語の病名「Autosomal(常染色体)Dominant(優性)Polycystic(多発性嚢胞)Kidney(腎)Disease(病)」の頭文字を取った略語です。
ADPKDはどのように発症するの?
ADPKDはPKD遺伝子という尿細管の太さを調節する遺伝子の異常が原因で起こる病気です。ご両親のいずれかがADPKDの場合、お子さんには50%の割合で遺伝するとされています。ただし、ご両親ともADPKDでない場合でも遺伝子の突然変異が生じると発症する場合があります。
ADPKDの主な症状
30~40歳代までは無症状の場合がほとんどですが、次第に以下のような症状が現れます。
初期症状――血尿、腰痛、背部痛
ADPKDの初期症状としては、血尿・腰痛・背部痛が挙げられます。スポーツなど体に衝撃が加わることによってこれらの症状が出ることが多いです。
腹部膨満感
腎臓や肝臓が大きくなることで、お腹に張りや圧迫感を感じるようになります。
ADPKDによって引き起こされる合併症
ADPKDは腎臓以外の臓器にも影響を及ぼすことがあります。ADPKDによって起こる可能性のある合併症をご紹介します。
高血圧
半数以上の患者さんに見られる合併症で、腎機能が低下する前から起こることが多い合併症といわれています。高血圧は腎機能の低下につながるため、早期から血圧をコントロールする治療が必要です。
脳動脈瘤
脳動脈瘤とは脳内の動脈にできた瘤のことで、破裂するとくも膜下出血を起こす危険性がある病気です。ADPKDの患者さんは脳動脈瘤を合併している場合が多いことに加え、その脳動脈瘤が破裂しやすいことが知られています。
したがって、ADPKDと診断された方は脳動脈瘤の検査を定期的に受け、脳動脈瘤の早期発見・早期治療に努めましょう。
尿路結石
ADPKDの患者さんは尿路結石を発症しやすくなります。尿路結石を発症すると、背中や脇腹に激しい痛みが突然生じます。尿管が詰まってしまうと一時的に腎臓の機能が悪くなることがあるため、十分に水分を摂取することなど日ごろから尿路結石を予防することが大切です。
ADPKDを診断するための検査
腎臓に嚢胞があるかどうかは、腹部超音波検査やCT、MRIといった画像検査で調べることが可能です。画像検査で嚢胞が確認された場合には、家族にADPKDの病歴がないかを確認します。
サルスクリニックでは腹部超音波検査を行っております。腹部超音波検査の結果、CTやMRIによる検査が必要な患者さんに関しては対応できる病院をご紹介させていただきますのでご安心ください。
ADPKDの治療法
現在、ADPKDに根本的な治療法はありません(2021年10月時点)。病気が進行して末期腎不全になると、水分や老廃物を尿によって体外に排出することができなくなるので、透析や腎移植などの腎代替療法が必要になります。
そのため、薬による治療や生活習慣の改善によって病気の進行を遅らせることが非常に重要になります。合併症が起きている場合には、個々の症状や病気に対しての治療も必要になるため、きめ細やかな治療が必要といえるでしょう。
ADPKDについて不安がある場合は一度相談を
ADPKDでは現在の自分の腎臓の状態をきちんと知っておくことが大切です。また、家族にADPKDの患者さんがいて自分やほかの家族が発症していないか心配という場合には、積極的に検査を受けていただきたいと思います。
サルスクリニックでは腎臓内科の診療にも対応しておりますので、ADPKDではないかと心配を抱えている方や腎機能の低下が疑われる方はぜひ一度ご相談ください。また、忙しい方でも通院しやすいようにWeb予約やオンライン診療にも対応しておりますので、お気軽に受診ください。