腹膜透析の仕組み
腹膜透析とは透析の種類の1つで、お腹にカテーテルと呼ばれる医療用の管を挿入して腹腔内に透析液を出し入れすることにより、血液中の老廃物や余分な水分を取り除く方法です。血液透析に比べて体への負担が少ない、残された腎臓の機能が保たれやすい、通院時間を大幅に減らして自由時間を確保することができるなどの特長があります。
腹膜透析では、あらかじめ腹腔内に入れてあるカテーテルを通して透析液を出し入れします。一定時間腹腔内に透析液が貯留されていると、腹膜(肝臓、胃、腸などの内臓を覆っている薄い膜)を通して、血液の中にある老廃物や塩分、余分な水分などが透析液の中に移動します。その後は透析液を体外に排出し、これを繰り返すことで血液がきれいに浄化されます。
腹膜透析のしくみ
腹膜透析の手順
腹膜透析は、自分や家族の手で透析液を交換し、24時間かけて透析を行うCAPD(連続携行式腹膜透析)と寝ている間に機械が自動的に透析液を出し入れするAPD(自動腹膜透析)、これらを組み合わせたCCPD(持続的周期的腹膜透析)や残腎機能がある場合にはincremental PDといった1日1~2回のバッグ交換のみで行う腹膜透析を始める場合もあります。
以下では、共通の前準備である手術についてと、それぞれの手段についてご紹介します。
腹膜透析を始める前の準備
腹膜透析を始める前に、手術でカテーテルと呼ばれる医療用の細い管をお腹に埋め込みます。
これには、外来で局所麻酔を使って行う場合と入院して全身麻酔下で行う場合があります。患者さんの状態や医療機関により方法が異なるため、詳しくは医療機関にご相談ください。
透析液を交換する手順
CAPD(連続携行式腹膜透析)の場合
日中、夜間を通して1日4回程度(6~8時間ごと)透析液のバッグを交換することによって、新しい透析液をお腹に入れ、老廃物や過剰な水分を含んだ古い透析液をお腹の中から排出します。残腎機能がある場合は1日1~2回の交換から開始することもあります。
基本的に、患者さん本人やご家族が透析液のバッグを交換します。難しい場合には、在宅医療連携の利用も検討されます。
バッグ交換は次のような手順で行います。
(1)カテーテルと透析バッグをつなげる
お腹から出ているカテーテルの先に新しい透析液のバッグと排液用の空のバッグをつなぎます。
針などで刺すわけではないため痛みは伴いません。また衛生面が心配な場合は、無菌的なチューブ交換が可能な接合装置を使うこともあります。
(2)排液
重力によりお腹の中にたまっていた排液が排液バッグに出てきます。
(3)注液
クランプを変えることで新しい透析液をお腹に入れます。
(4)バッグを外す
空になった透析液バッグと排液が入ったバッグをカテーテルから外します。
バッグ交換の作業は1回あたり30分程度です。一般的には透析液がお腹に入っていても、外出する、仕事をする、食事をする、昼寝をする、買い物をする、など軽い労作業は行っていただけます。バッグ交換の時間以外は自由に過ごすことができ、自宅以外の場所でも交換可能なので、社会生活を送るうえでも有用性が高いといえます。
APD(自動腹膜透析)の場合
就寝前に透析を開始し、寝ている間に機械が自動的に透析液を出し入れします。
透析患者さんの自由時間を多く確保するために開発された方法であり、腹膜透析患者さんの約40%がこの方法を選択しています。特に、学生や社会人など、通学や通勤が必要な方にすすめられます。
なお、十分な透析量を確保するため、夜間だけでなく昼間にも腹腔内に透析液を入れておく方法もあります。
腹膜透析の手順を理解したうえで導入の検討を
腹膜透析は社会生活を送るうえでメリットの多い治療法である一方、ご自分の管理が重要な治療法でもあります。手順や方法についてよく理解し、医療スタッフとよくご相談のうえ導入を検討ください。
日本橋、武蔵境、有明にあるサルスクリニックは、駅近の通いやすい立地とカフェのような院内でくつろいで受診いただけます。腹膜透析の導入をはじめ、透析に関するさまざまなサポートも行っています。また、各種検査、健診も行っていますので、透析が必要になるまで病気を悪化させないという予防の観点でもアドバイスが可能です。
サルスクリニックでは、たとえ病気であっても患者さんがその人らしく生活できるようにサポートします。ご自身に合った透析療法についてのご相談などをご希望でしたら、ぜひ一度ご相談ください。
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