フレイルとはどういう状態?
フレイルは日本語で“虚弱”と訳され、健康な状態と要介護状態との中間を指します。高齢の方は特にフレイルを発症しやすく、多くの場合でフレイルの時期を経て徐々に要介護状態に陥ると考えられています。つまり、介護が必要になる前段階ともいえますが、適切な治療や予防を行うことで健康な状態に戻ることができる時期でもあります。
フレイルのチェック方法についてはこちらの記事でもご紹介しています。
フレイルサイクルとは
フレイルの要因が重なり、悪循環に陥った状態がフレイルサイクルです。筋力低下が始まりのものや、食欲不振が始まりのものがあります。
たとえば筋力低下で始まる場合では、加齢や病気によって筋肉量が減り体の機能が低下します。足の筋肉量が減ると歩く速度が落ちたり、疲れやすくなって活動量が減ったりします。活動量が減ると消費エネルギーが減るため、食欲もなくなります。そうすると低栄養の状態になり、栄養不足によってさらに筋力低下が進んでいくという悪循環が起こり、ますます健康状態が悪化していきます。
フレイルサイクルを防ぐには
フレイルサイクルに陥らないようにする、もしくはフレイルが進行するのを防ぐことは、健康状態の改善につながり、要介護状態に進まずにすむ可能性があります。そのためには、フレイル状態であることの早期発見と適切な支援・介入が必要です。
フレイルサイクルへの具体的な介入方法
フレイルへサイクルの介入方法として、持病のコントロール、運動、栄養療法、社会参加などが挙げられます。
持病のコントロール
糖尿病や高血圧、腎臓病、呼吸器疾患、心臓病などの慢性疾患がある場合には、フレイルの治療と並行して持病のコントロールを行うことが必要です。フレイルの筋力低下を予防するには運動療法が効果的ですが、持病のコントロールがうまくできていないとそもそも体を動かすのが難しくなります。また、持病が悪化するとフレイル状態も悪化しやすくなるため、要介護状態を防ぐためにも持病のコントロールが非常に大切です。
運動
適切な運動を行うと筋力が付くだけでなく、血流が改善されて循環がよくなり、内臓のはたらきもよくなります。活動的になることで食欲増進にもつながります。ただし運動療法は、その方に合ったレベルから始めることが大切です。筋肉が衰えた状態でいきなり無理な運動をしようとすると、転倒や骨折を起こす危険があります。
栄養療法
運動と並行して、栄養療法を行うことも大切です。低栄養状態で運動をしても筋肉が付かないばかりか、エネルギーが消費されさらに栄養不足に陥る恐れがあります。低栄養を予防するためには、日常の食事でご飯、パン、麺などの“主食”、肉、魚、卵、大豆製品などを使った“主菜”、野菜、きのこ、海藻などを使った“副菜”をそろえて、多様な食品を食べることを意識しましょう。
また、筋肉を付けるためには良質なたんぱく質が必要ですが、たんぱく質は体に貯蔵しておくことができません。そのため、毎食の食事でたんぱく質を取り、不足しないようにしましょう。
社会参加
地域活動や趣味を通して社会とつながることは、外出を促し、結果として身体機能の維持や健康づくりに対する前向きな姿勢につながります。また、他者からフレイル予防についての情報を教えてもらう機会が得られたり、さまざまな刺激を受けることで気持ちのハリを保ったりすることもできます。
口腔対策
噛む、飲み込む、話すなどの口腔機能が加齢とともに衰えることを“オーラルフレイル”と呼び、フレイルと深いつながりがあるとされています。口腔機能が衰えると食事がうまく食べられなくなり、全身の機能低下や、要介護状態へとつながる可能性があります。 噛む力や飲み込む力を維持するために、日頃から口周辺の筋肉を強くする体操や唾液を出やすくするマッサージなどを行ってみましょう。
フレイルサイクルに陥らないために、早期受診を
健康な状態を維持するためには、フレイル状態に早く気付き、対策を講じることが重要です。サルスクリニックでは、フレイル予防を目的として体の状態を詳しく知るための検査や、現在の健康状態を基にしたアドバイスなど、充実したサポートを用意しています。フレイルサイクルに陥らないためにも、気になる症状がある方はぜひ早めに受診してください。