手足が冷たくても、温めるべき場所は◯◯◯! ~冷え性の原因と改善策をご紹介~

この記事のポイント

  1. 冷え性でも、内臓や脳の温度は正常
  2. 冷え性の原因は、筋力不足や自律神経の乱れなど
  3. 冷え性の改善ポイントは、運動・自律神経の改善・適切に温めること
  4. サルスクリニックでは、冷え性に関わる筋肉量や基礎代謝量などの詳細な測定が可能!

寒い冬はもちろん、夏の冷房が効いた部屋や周りの人は寒がっていない春や秋でも、なぜか自分は手足が冷たい…と感じたことはありませんか?甲状腺機能低下症などの疾患を伴わない、いわゆる「冷え性」の場合、西洋医学では治療対象にはならないのですが、つらい不調は改善したいですよね。今回は最も多い、手足が特に冷えてしまうタイプの冷え性について原因や改善策をご紹介します。

「冷え性」とは?

直接的な原因となる疾患が無いにも関わらず、多くの人が苦痛を感じない室温であっても身体の一部もしくは全身的に異常な寒冷感がある状態を、一般的に「冷え性」と言います。東洋医学では未病(病気ではないが不調がある状態)のひとつとして「冷え症」と呼ばれ、治療すべき症状とされています。

部分的な冷え

冷え性は、身体全体の温度が下がって激しい震えや意識障害を起こす「低体温症」とは違い、部分的に体温が下がっている状態です。冷え性の多くの方は、特に手や足などの冷えを訴えます。
24歳~45歳の女性241名を対象に、足底(足の裏)と額それぞれの深部温(身体の内部の温度)と表面温を測定した研究では、全体の70.5%もの人が「自分は冷え症だと思う」と回答し、額の平均深部温は36.8℃、足底は30.6℃と、足の温度の方が明らかに低い結果となりました。
また、冷え性の自覚の有無と額の温度の関連性は見られませんでしたが、足底については「冷え性だと思わない」と回答した人の深部温と表面温の差が4.9℃であったのに対し、冷え性を自覚している人では6.7℃もの差がみられました。表面が冷えていて深部温との差が大きいと、より冷えを感じやすい傾向があるようです。

なぜ手足が冷えるの?

人間は食事から栄養素を摂取して生命維持に必要なエネルギーを作り出し(基礎代謝)、そのうち大部分が身体の熱を生み出すことに使われます。生み出された熱は血液とともに全身に行き渡ります。一方で、余分な熱は皮膚から体外に放出されます。
手足が冷えやすいのは、基礎代謝が低く熱生産量が少なかったり、体温調節をコントロールする自律神経が乱れていたりすることで、手や足へ送り届けられる血液が制限されるからです。

冷え性になりやすい人の特徴

冷え性になりやすい人には以下のことが考えられます。

筋肉量が少ない

冷え性に関する多くの研究は女性を調査対象としていますが、厚生労働省が実施した「令和元年 国民生活基礎調査」でも「手足が冷える」と回答した284万1千人のうち男性は83万3千人、女性が199万8千人と大きな差があり、女性の方が冷え性になりやすい傾向は明らかです。この理由の一つは、女性の方が筋肉量が少ないことにあります。筋肉は意識的に動かさなくても絶えず熱を生産し、体温の維持に大きく貢献しています。筋肉量が少ないと身体の隅々まで十分に温められるだけの熱を作れず、生命維持にとってより重要な内臓の温度を保つことが優先されるため、手足などの温度が下がってしまいます。また、人間の体温が環境温度に左右されないのは、筋肉・脂肪・皮膚が断熱材の役割を果たしていることにもよるので、筋肉が少ないと体内の熱が外へ逃げやすくなります。

食事量が少ない

そもそも栄養の摂取量が少ないと熱を十分に作り出せないため、冷え性になりやすくなってしまいます。また、人間は食べたものを消化・吸収する際にも熱が生産されるため、食事のあとに身体が温かくなったと感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。「食事誘発性熱産生」と呼ばれるもので、特にタンパク質は摂取エネルギーの約30%が熱になるといわれています。よって、食べる量が少ないことも身体の冷えに繋がります。
厚生労働省による「令和元年 国民健康・栄養調査」では、「やせ」(BMI18.5未満)の割合が男性では3.9%であったのに対し、女性は11.5%、20代の女性に限れば20.7%にも上っています。痩せすぎということは筋肉や脂肪が少なく身体の断熱材が少ない状態ですので、食事量が少なく痩せすぎ傾向にあることも、女性の方が冷え性になりやすい原因の一つと言えるでしょう。

加齢の影響

加齢に伴って筋肉量や食事量が減ることや、体温調節機能が低下することで冷え性になりやすくなります。特に更年期(一般的に45~55歳)の女性は、女性ホルモンのうち血管拡張作用のあるエストロゲンの分泌が急激に減少することで血行障害が起こり、冷え性を引き起こします。こちらも女性が冷え性になりやすい一つの要因です。

自律神経のバランスの乱れ

体温調節にかかわる多くの組織が自律神経によってコントロールされています。意識的に体温を上げようとする行動を取らなくても、自律神経が勝手に熱を作ったり逃したりして体温を調整してくれています。手足の皮膚にある血管は、自律神経のうち交感神経が優位になると収縮し、副交感神経が優位になると拡張します。寒い場所にいると身体の中心部の温度を保つために、手や足から熱が放出されるのを抑えようとして交感神経が血管を収縮させ、手足に流れる血液量を減らします。こうすることで内臓の温度が下がってしまう事態は防げますが、この状態が続くと手足が冷たくなりすぎて辛さを感じます。ストレスや寝不足などで交感神経が過剰に活性化している場合、他の人が寒いと感じない場面であっても血管の収縮が起こり手足が冷たくなります。

冷え性に伴う不調

冷え性の人は、身体の冷たさを感じる以外にも、

  • 肩が凝る
  • 腰が痛い
  • 足がむくみやすい
  • 身体がだるい
  • 疲れやすい
  • 眠りが浅い

などをはじめとする様々な不調が、冷え性でない人に比べて現れやすいことがわかっています。どれも血流の悪さが原因のひとつにあるものなので、身体の冷えが改善されればこれらも同時に解消されることが期待できます。

冷え性の予防策・改善策

先にご紹介しました足底と額の温度差を用いた研究で、調査対象者は冷え症の予防・対策のために実施している事柄として「靴下の着用」「厚着・重ね着」「カイロや湯たんぽの使用」の順に多く挙げました。しかし、効果があると言える結果になったのは「厚着・重ね着」と「運動の実施」の2項目であり、冷えている足を直接温めるよりも腹部や腰など身体の中心部を温めることや、筋肉を刺激して熱生産を高めることの方が重要であると結論付けられています。

ここまでで見てきたように、

  • 十分な熱を生産できていない
  • 熱の放出を防いで身体の中心部分の温度を保つために手足の血流を減らしている

これらが手足が冷えてしまう主な原因で、内臓の温度を保つのに精一杯な状態であれば、冷たい足だけを温めても一時しのぎに過ぎません。お腹周りが十分に温まれば、手足に回せる血液量が増えるということです。

他にも、冷え性を予防・改善するための具体的な方法をいくつかご紹介します。

質の良い睡眠をとる

体温調整に関わる自律神経は、正しい生活リズムと質の良い睡眠によりバランスが整えられます。詳しくは別の記事でご説明しておりますので、参考にしてみてください。

入浴をする

シャワーだけで済ませずしっかり湯船に浸かることで、身体の深部体温を上げて血流を改善することができます。
さらにこれは睡眠の質を高めることにも繋がります。湯船に浸かって深部体温を上げると、入浴後に血管を拡張して放熱しようとするため副交感神経が優位になり、眠気が誘発されます。冷え性の方で寝付きが悪いという方は、眠ろうとしたときに手足が冷たくないか確認してみてください。もし冷たければ交感神経が優位になっている可能性が高いので、入浴や寝る前のリラックス方法を見直してみましょう。

衣類の調整

衣服は熱の放散を防ぐために大変重要です。重ね着をする際には服同士の間隔を3mm程度にすると、温められた空気が身体の周りに留まりやすく体温低下を防げるという研究があります。裾や袖、首元などを閉じる着方にすると、より熱が逃げにくくなります。特にお腹周りを温めることを意識しながら、ファッションについても見直すことをおすすめします。

マッサージやストレッチをする

マッサージで筋肉に圧力を加えると血流が促進されるということが確認されています。また、ストレッチでゆっくりと伸ばすことでも筋肉の緊張を取り除き、血流を改善できると言われています。冷え性の予防・解消のために運動は重要ですが、筋肉に疲労を残したまま運動を続けてしまうと、筋肉が硬くなって血流が悪くなってしまいますので、運動後にマッサージやストレッチを取り入れましょう。運動をしていない日でも、寝る前に血流を促進させることは質の良い睡眠、そして自律神経バランスの改善に繋がりますので、入浴と合わせて日課にできるよう、取り組んでみてください。

こんなときはサルスクリニックへ!

この他にも、十分な熱を生産するためにしっかり食べることも重要です。特に熱を多く作り出すタンパク質を摂取することや、身体を冷やす食べ物を避けて血行を促進するものを積極的に食べるなど、食事については様々な工夫が可能です。
「血行を促進する食べ物って何?」「ダイエットしながら冷え性を治すことってできないの?」「タンパク質を多く摂るように意識したら今度は便秘になってしまった!」など、疑問や困りごとが生じた際には、ぜひサルスクリニックへご相談ください。
サルスクリニック日本橋には、身長・体重だけでなく、基礎代謝量や、身体の部位別に筋肉量・脂肪量・水分量などを測定できるInBodyという機械がございます。身体の状態や生活スタイルを詳細に知った上で管理栄養士がお一人おひとりに合った栄養のアドバイスをする「栄養指導」のプランは、冷え性に悩む方におすすめです。1回だけの単発プランもございますので、ぜひお気軽にご相談ください。

フローティングバナー フローティングバナー