血液検査では何が分かる? 各項目と基準値について解説

この記事のポイント

  1. 血液検査をすることで、病気の診断や将来の発症リスクを調べることができる
  2. 血液検査で発見できるのは、肝臓や腎臓の病気、糖尿病、脂質異常症、貧血、血液の病気など
  3. 血液検査で異常を指摘されて心配なときは医師に相談を

健康診断で行う血液検査は、さまざまな病気を見つけるきっかけとなります。しかし、検査結果は難しい名称が多く、見方がわからないという方も多くいらっしゃるでしょう。

本記事では血液検査の項目一覧とともに、基準値や結果からわかることについて解説します。

血液検査でわかること

血液の中には、細胞や抗体といったさまざまな物質が含まれています。それらの物質を項目ごとに分けて数値化したものが血液検査です。

体に何らかの異常がある場合、血液中の物質数が増えたり減ったりします。そのため項目ごとに基準値と照らし合わせることで、病気の診断や将来的な発症リスクを調べることができます。主に、肝臓や腎臓の病気、糖尿病、脂質異常症、貧血、血液の病気(白血病など)を発見することができます。

※血液検査の何時間前までに食事を済ませれば良いの?等の疑問は、ぜひこちらの記事をご覧ください!

血液検査の項目と基準値

血液検査の項目や基準値については以下のとおりです。なお、以下の基準値は公益財団法人 日本人間ドック学会における基準値を参考にしています。

肝臓の検査

総タンパク(TP)(基準値:6.5~7.9g/dL)

血液中に含まれるタンパク質の総称です。主にアルブミンやグロブリンを指します。低栄養や肝機能障害、ネフローゼ症候群で数値が低くなり、多発性骨髄腫たはつせいこつずいしゅや脱水などで高くなります。

アルブミン(ALB)(基準値:3.9g/dL以上)

血液中のタンパク質のうち、もっとも多くの割合を占めるタンパク質の一種です。低栄養や肝機能障害、ネフローゼ症候群の場合に値が低くなります。

AST(GOT)、ALT(GPT)(基準値:30U/L以下)

AST(GOT)は、心臓や肝臓、腎臓、筋肉などに存在している酵素で、ALT(GPT)は主に肝臓に多く存在している酵素です。ALTだけ高い、もしくはASTもALTも高い場合には、脂肪肝や肝炎、肝臓がんなどの病気を疑います。ASTだけが高い場合には、肝臓や心臓の病気を疑います。

γ(ガンマ)-GT(γ-GTP)(基準値:50U/L以下)

タンパク質を分解する酵素の一種で、肝臓の解毒作用に関わっています。アルコール性肝障害や脂肪肝、肝炎、胆道閉塞たんどうへいそくなどがあるときに数値が上昇します。

HBs抗原(基準値:陰性−)

B型肝炎ウイルスへの感染の有無を調べます。

HCV抗体(基準値:陰性−)

C型肝炎ウイルスへの感染歴や現在感染していないかどうかを調べます。

腎臓の検査

クレアチニン(Cr)(基準値:男性1.00mg/dL以下、女性0.70mg/dL以下)

筋肉内にあるクレアチン(アミノ酸の一種)が代謝された後の老廃物です。腎臓でろ過された後、尿として排出されることから、腎機能が低下していると数値が高くなります。

男性と女性で筋肉量に差があるため、男女で基準値が異なります。

eGFR(イージーエフアール)(基準値:60.0mL/分/1.73m2以上)

腎臓が老廃物を尿として排泄する能力を示すもので、血清クレアチニンの値を性別、年齢で補正して算出します。腎機能が低下している場合、数値が低くなります。

尿酸の検査(基準値:2.1~7.0mg/dL)

尿酸(UA)

尿酸はプリン体(タンパク質の一種)が代謝されてできたものです。尿酸が増えると尿酸塩という結晶になり、それが足の親指の付け根などの関節に付着すると痛風を引き起こし、強い痛みが生じます。

尿酸塩が腎臓に沈着すると腎機能障害を引き起こします。また、動脈硬化のリスクもあります。

炎症反応の検査

C反応性タンパク(CRP)(基準値:0.3mg/dL以下)

体に炎症が起きているときに血液中に増加するC反応性タンパクの量を調べます。細菌やウイルスに感染したり、がんによって体の組織が傷害を受けていたりするときに上昇します。

脂質系の検査

LDL-コレステロール(基準値:60~119mg/dL)

肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っています。「悪玉コレステロール」とも呼ばれ、これが過剰な量になると血管壁に余分なコレステロールが蓄積されてゆき、血管が硬くなってしまいます。つまり、血液検査でLDLコレステロールの数値が高いということは、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞のリスクが高い状態と言えます。飽和脂肪酸の過剰摂取などで値が上昇します。

HDL-コレステロール(基準値:40mg/dL以上)

動脈の内側に付着した余分なコレステロールを回収して肝臓に戻すことで動脈硬化を防いでいくれます。「善玉コレステロール」とも呼ばれます。数値が低いと過剰なコレステロールを回収しきれず、動脈硬化のリスクが高くなります。喫煙等によって減少してしまいます。

Non-HDL-コレステロール(基準値:90~149mg/dL)

全てのコレステロールからHDL-コレステロール(善玉コレステロール)だけを除いたものです。動脈硬化を引き起こす全てのコレステロールを意味します。non-HDLコレステロールの値が170mg/dL以上の場合、脂質異常症と診断されます。

中性脂肪(TG)(基準値:30~149mg/dL)

「トリグリセライド」とも呼ばれ、体脂肪の大部分を占めます。大切なエネルギー源となりますが、増えすぎると皮下脂肪や肝臓に蓄えられ、肥満や脂肪肝を招きます。糖質の過剰摂取により、増加する傾向があります。

脂質に関してはこちらの記事でより詳しく解説しております。

糖代謝系の検査

血糖値(基準値:99mg/dL以下)

血液中のブドウ糖の量を濃度で示したものです。ブドウ糖はインスリン膵臓すいぞうから分泌されるホルモン)のはたらきによってエネルギー源となります。

血糖値は、空腹時と食後で数値が異なることが一般的です。空腹時は血糖値が低く、食後は血糖値が高くなりますが、健康な人であればインスリンのはたらきにより、時間の経過とともに再び空腹時と同様の血糖値まで戻ります。

一方、糖尿病の人はインスリンがうまくはたらかなくなり、血液中のブドウ糖が過剰になってしまいます。そのため、血糖値の数値が高い場合には糖尿病を疑います。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)(基準値:5.5%以下)

血液中のヘモグロビンとブドウ糖が結合してできた物質のことで、これを見ることで過去1~2か月における平均的な血糖値が分かります。

血球系の検査

赤血球(RBC)

全身に酸素を運び、血液中の二酸化炭素を分解する役割を担います。赤血球の数が多すぎると多血症、少なすぎると貧血を疑います。

白血球数(WBC)(基準値:3,100~8,400/μL)

細菌やウイルスから体を守る役割を担います。感染症や炎症性の病気、腫瘍性しゅようせいの病気で数値が高くなります。また、喫煙習慣がある場合にも高くなります。

血色素量(Hb・ヘモグロビン)(基準値:男性13.1~16.3g/dL、女性12.1~14.5g/dL)

赤血球の中で酸素を運ぶ役割を担うタンパク質のことです。数値が低い場合には貧血などを疑います。

ヘマトクリット(Ht)

血液全体のうち赤血球が占める割合のことです。数値が高い場合には多血症や脱水、低い場合に貧血などを疑います。

血小板数(基準値:145,000~329,000/μL)

出血時に血液を固めて止血する役割を担います。血小板血症やリウマチなどの慢性炎症で数値が高くなり、再生不良性貧血や特発性血小板減少性紫斑病などで数値が低くなります。

血液検査の結果に気になることがあればご相談ください

健康診断の血液検査の結果、要精密検査と指摘されたり、不安なことがあったりする場合には、ぜひサルスクリニックまでご相談ください。必要に応じてより詳しい検査や、病気の発症予防に向けた生活習慣改善のアドバイスを行っております。

直接の来院が難しい場合にはオンライン診療も行っておりますので、健康のことで気になることがあればお気軽にご相談ください。

※サルスクリニックの健康診断について、詳しくはこちらをご覧ください。

フローティングバナー フローティングバナー