帯状疱疹~どう防ぐ?どう治す?~

この記事のポイント

  1. 水ぼうそうのウイルスは長年静かに体内に潜み、免疫力が低下するチャンスをうかがっている!
  2. 50歳以上の方は特に発症しやすく、重症化や合併症のリスクも高いため注意が必要
  3. 帯状疱疹はワクチン接種で予防することが大切
  4. 帯状疱疹のワクチンは、国の助成金によって半額程度になる市区町村も

上半身の左右片側に発疹や水ぶくれが帯状にできる「帯状疱疹」をご存知でしょうか?早い段階で治療をしないと強い痛みに苦しめられたり、後遺症が残ることもあります。今回は帯状疱疹の予防法と治療法をご紹介します。

帯状疱疹とは

帯状疱疹は、子供のころに水ぼうそうを引き起こした「水痘・帯状疱疹ウイルス」が、体内に長期間潜伏した後に再活性化することで発症する感染症です。多くの場合は左右どちらかの神経に沿って上半身を中心に、疼痛やかゆみを伴う赤い発疹と水ぶくれが帯状に広がります。水ぼうそうも帯状疱疹も、高齢になるほど重症化しやすい傾向にあります。特に50歳以降は発症リスクが高いので罹ってしまう前に知識を得て、しっかり予防しましょう。

帯状疱疹の予防策は?

帯状疱疹の感染予防には、以下のような対策が重要です。

  • ワクチンの接種

帯状疱疹は、ワクチン接種を行うことで発症率を下げ、発症した場合にも症状を軽減させたり重症化の予防にもなります。また、帯状疱疹は水ぼうそうに感染したことのある人しかかかりません。そのため、水ぼうそうにかかったことがない人は水痘ワクチンの接種を検討しましょう。

  • 免疫力の維持

水痘・帯状疱疹ウイルスは、体内に何年、何十年と潜伏します。加齢をはじめ、何らかの原因で免疫力が低下した人の体内で再び活性化し、帯状疱疹として発症します。よって免疫力を維持することは大変重要です。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけましょう。ストレスを溜めないことも大切です。

  • 接触感染予防

帯状疱疹は水痘ウイルスが再活性化したものであるため、まずは水ぼうそうの感染を避けることが必要です。水ぼうそうに感染しないためには、水痘ワクチンの接種が有効です。水ぼうそうに罹ったことのない人は帯状疱疹にはなりませんが、帯状疱疹に罹っている人と接触すると、水ぼうそうとして発症します。

  • 医療機関の受診

免疫力が低下する疾患のある方や50歳以上の方は帯状疱疹のリスクが高くなるため、特に注意が必要です。

帯状疱疹ワクチンって、どんなもの?

帯状疱疹を予防するワクチンは2種類あります。

①ビケン

日本の製薬会社が製造するワクチンで、「乾燥弱毒生水痘ワクチン」と呼ばれ、病原体となるウイルスの毒性を弱めて病原性をなくしたものが原材料となっています。毒性の弱ったウイルスが体内で増殖して免疫を高めます。
子供が水ぼうそう予防のために定期接種として打つワクチンはこちらのビケンです。子供の場合は生後12ヶ月~15ヶ月の間に1回目を、3ヶ月以上間隔をおいて2回目を接種します。厚生労働省によると1回接種するだけでも、水ぼうそうへの罹患を80~85%程度、重症化をほぼ100%防ぐことができるとされています。
2016年から50歳以上を接種の対象とし、帯状疱疹予防としてビケンの使用が認められています。

②シングリックス

イギリスの製薬会社が製造する帯状疱疹ワクチンで、病原体となるウイルスを不活化したものが材料となっています。前述の生ワクチンと違って体内でウイルスは増殖しないため、シングリックスは2回接種が推奨されており、2回接種することで、帯状疱疹発症のリスクを約70%減らすと言われています。帯状疱疹の発症を予防するだけでなく、次にご紹介する合併症「帯状疱疹後神経痛」のリスクも88%軽減するとされ、一般的にビケンよりも強い予防効果を発揮します。その分、シングリックスは2回打つ必要があり、接種にかかる費用が高いですが、効果の持続期間も9年と長いため、基本的にはシングリックスの接種がおすすめです。

合併症はどんなもの?

帯状疱疹の合併症として最も頻度が高いのは「帯状疱疹後神経痛」です。50歳以上の患者さんでは約2割に起こると言われています。帯状疱疹の後に数週間から数か月、場合によっては数年以上にもわたって、神経痛や痺れ、かゆみなどの症状が持続します。帯状疱疹後神経痛の治療法としては、痛み止め薬、抗うつ薬、抗てんかん薬、局所麻酔薬などがあります。しかし、痛み止めなどを使用しても十分に緩和できないことも多く、長期間に渡って非常につらい思いをしている方もたくさんいます。確立した治療法がないため、予防が非常に重要です。

帯状疱疹になってしまった!そんなときは…

何よりもまず医療機関を早期に受診することが大切です。

帯状疱疹は発疹や水ぶくれができる前に、ピリピリとした痛みや刺すような痛み、かゆみなどが数日~1週間程度現れて、その後赤い発疹が出てきます。水ぶくれができるまで放置せず、できるだけ初期の段階で治療を行うことで帯状疱疹の症状を緩和し、合併症のリスクを減らすことができます。

それ以外にも帯状疱疹のセルフケアとして、以下のような点に気をつけてみてください。

  • 痛みの軽減

帯状疱疹は強い神経痛を引き起こすことがあります。痛みを軽減するためには、医師が処方する鎮痛剤を服用しましょう。

  • 発疹部位のケア

発疹部位は痛みやかゆみを伴います。しかし、発疹部位をこすったり引っかいたりすると悪化の原因となるため、触れないように心がけましょう。患部を清潔に保ち、乾燥させることが重要です。

  • 食事と栄養

栄養バランスの良い食事を心がけることで、免疫力を高めることができます。特に、ビタミンB群やビタミンC、亜鉛などが含まれる食品を積極的に摂取することがお勧めです。

  • 休息とストレスマネジメント

十分な休息を取ってストレスを減らすことも、免疫力を高めるために重要です。帯状疱疹の症状が重い場合は仕事や日常生活のスケジュールを調整して、ゆったりと過ごせるようにしましょう。

  • 医師の指示に従う

帯状疱疹の治療には、医師から処方された薬を指示通りに服用する必要があります。治療には、抗ウイルス薬、疼痛を和らげる薬、ステロイド剤などが使われる場合があります。他に持病や服用中の薬がある場合などには医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。

ワクチン接種が最善の予防策!

水痘・帯状疱疹ワクチンが2014年に定期接種となってから、水ぼうそうの罹患率は一気に減少しました。例えば、2013年の水ぼうそう患者数は日本では約9万人であったのに対して、2019年には約2万3千人となっています。世界保健機関(WHO)も予防接種の導入によって、水ぼうそうにかかる人の数は2000年から2019年にかけて、世界全体で約80%減少したとされています。
帯状疱疹ワクチンも定期接種に入れるべきか否か、これまで何度も厚生労働省で議論されてきました。現段階(2023年6月)では未だ定期接種にはなっておらず任意接種のため、基本的には全額自費で接種することとなっています。
しかし近年、帯状疱疹を発症する人が以前より増加していることから、東京都は2023年度に帯状疱疹ワクチンの接種費を市区町村に助成する補助事業を実施すると明らかにしました。この制度の導入時期や助成金の額は自治体によって異なりますが、本来の自己負担額の半額程度で受けられる場合もあります。お住まいの自治体ホームページ等でご確認ください。
帯状疱疹ワクチンは、発症を完全に予防するわけではありません。ワクチン接種を受けても帯状疱疹にかかる可能性があります。また、接種後に一時的に軽度な副作用が出ることがありますが、重篤な副作用は稀です。帯状疱疹の予防にはワクチン接種に加えて、免疫力の維持や感染予防の対策が必要です。
帯状疱疹ワクチンであるシングリックスはサルスクリニックにて、常時接種可能ですのでいつでもお越しください。待ち時間を少なくスムーズに受診したい方は、WEB予約をご利用ください。武蔵境日本橋有明、どちらのサルスクリニックでも帯状疱疹のワクチンは接種可能ですので、特に50歳以上の方や免疫力が低下してしまう疾患のある方、不規則な生活でよく体調を崩してしまう方などには接種をおすすめいたします。

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