アルコールを無害に変える分解酵素とは? ~お酒の強さとの関係も解説~

この記事のポイント

  1. 体内に入ったアルコールは、“ADH1”“ALDH2”などの酵素のはたらきによって分解される
  2. 遺伝的にアルコールの分解酵素を持たなかったり、そのはたらきが弱かったりする方もいる
  3. 自分のアルコール耐性を知るには、エタノールパッチテストが有効

アルコールは体内に入ると、主に胃や小腸から吸収され、肝臓で分解されます。その分解の際に必要なのが、アルコールの分解酵素です。本記事では、アルコールの分解酵素の種類やはたらき、はたらき方の個人差などについて解説します。

アルコールの分解酵素とは?

アルコール(エタノール)を分解するのに必要なのが、主に “ADH1”(1型アルコール脱水素酵素)と“ALDH2”(2型アルデヒド脱水素酵素)と呼ばれる分解酵素です。

ADH1とは、肝臓に送られたアルコールを有害なアセトアルデヒド(吐き気や動悸、二日酔いなどの原因)に分解する酵素です。ALDH2はこのアセトアルデヒドをさらに分解し、無害な酢酸に変える役割を持っています。

分解酵素とお酒の強さの関係は?

俗にいう“お酒に弱い”人は、先ほど説明したアセトアルデヒドを分解する酵素であるALDH2のはたらきが弱いか、そもそもALDH2を持っていないことが考えられます。

特に日本人の44%ほどはALDH2のはたらきが弱いか、ALDH2を持っていないとされ、お酒に弱かったり、まったく飲めなかったりする体質だとされています。また、 ALDH2が活発にはたらくかどうかは遺伝子によって決まるので、お酒に強いか弱いも生まれつきの体質によって決まっています。

ALDH2のはたらきが弱い(持っていない)方は、ごく少量の飲酒でも気分が悪くなったり、眠くなったりする“フラッシング反応”が起こることがあるので、無理な飲酒はやめましょう。またフラッシング反応は、長年お酒を飲んでいるとアルコールへの耐性がつくことから緩和します。ただし、ALDH2のはたらき自体が高まるわけではないので注意しましょう。

アルコール分解酵素の有無を簡単に調べる“エタノールパッチテスト”

アルコール分解酵素のはたらきの程度については、自分で簡単に調べることができます。

以下では、独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 樋口 進(ひぐち すすむ)先生の考案した“エタノールパッチテスト”をご紹介します。

エタノールパッチテストの方法

 少量(2、3滴)の消毒用アルコール(エタノール)*を、救急絆創膏のガーゼ部分**に染み込ませて上腕の内側などに貼ります。

7分後に貼り付けたテープを剥がし、そのまましばらく放置します。10分後(貼り付けから17分後)、ガーゼが当たっていた部分の皮膚が変色していないか確認します。

皮膚が赤くなっていた場合はお酒に弱いか、お酒がまったく飲めない体質とされます。

ただし、お酒を毎日飲んでいる方では正確な結果が出ないことがあります。

*アルコール濃度70%のものを使用

**薬のついていないタイプを使用

分解酵素のはたらきと体質を知って、お酒と上手に付き合おう

アルコールを分解するためには分解酵素が必要ですが、日本人の4割程度はアルコールに対する分解酵素を持っていなかったり、そのはたらきが弱かったりします。そういった体質の方々は少しの飲酒でも気分が悪くなるなどのフラッシング反応が起こる場合があります。

自分のアルコール分解酵素のはたらきを調べるには、アルコールパッチテストなどの方法があります。お酒と上手に付き合っていくうえでも、一度調べてみてはいかがでしょうか。

日本橋、武蔵境、有明にあるサルスクリニックは、たとえ病気であってもその人らしく、楽しく生きられるようサポートしています。各種検査、健診はもちろん、常駐する管理栄養士が日常生活でのお酒との付き合い方について提案したりすることもできます。

クリニックは駅近の通いやすい立地にあり、カフェのような院内でくつろいで受診いただけます。予約も決済もスマホで可能ですので、ぜひお気軽にお越しください。

※サルスクリニックの健康診断について、詳しくはこちらをご覧ください。

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