外食の選び方~栄養バランスを整えるポイント~

この記事のポイント

  1. カロリーを把握する
  2. 主食、主菜、副菜を揃える
  3. 調理方法を意識する

外食は一般的に高カロリーなものが多く、糖質、脂質、塩分を過剰に摂取しやすい傾向にあります。偏った食生活の積み重ねは生活習慣病などの発症リスクを高めます。食事のポイントをおさえると栄養バランスはぐっと良くなります。このコラムでは外食の食べ方や選び方をご紹介します。ポイントを意識して外食を楽しみましょう

1食当たりの必要なカロリーを把握する

ご自身に必要なエネルギー量(カロリー)を把握することで、食べ過ぎを防ぐことに繋がります。
1日に必要なエネルギー量は性別、年齢、体格、普段どのくらい動くのかによって異なります。ご自身のエネルギー必要量は、医師や管理栄養士に相談し確認をしてみましょう。

簡単な例をあげてみると、

  • 男性30~49歳
    身長171cm 体重68.1kg:2700kcal
    1日2700kcal÷3食=1食900kcal
  • 女性30~49歳
    身長158cm 体重53.0kg:2050kcal
    1日2050kcal÷3食=1食680kcal

※例にあげた身長体重は、年齢から見た日本人の平均的な体格で、座り仕事が中心だが、一部は立って作業するような自立した生活を想定したものです。[日本人の食事摂取基準(2020年版)より抜粋]

この場合は、1食当たり男性900kcal、女性680kcal以内におさめると適正量に近づきます。減量が必要な場合は、示したエネルギー量より制限する必要があります。外食で過剰摂取になりやすい糖質、脂質、塩分の数値が低いメニューを選ぶというのもひとつの方法です。メニューに栄養成分表示をしているお店が増えていますので、ぜひ目を向けてみてください。

栄養指導では、商品を購入するときにまずは栄養成分表示を確認しましょうとお伝えすることが多くあります。外食に限らず普段から意識すると、どの商品には何が多いのかという特性が分かるようになります。その結果、商品の選び方が変わり、栄養バランスが良くなるという流れをつくることができるようになります。

主食、主菜、副菜を揃える

主食、主菜、副菜を揃えると栄養バランスが整いやすいことから「一汁三菜」が理想とされています。

  • 主食
    ご飯、麺、パン…炭水化物(糖質、食物繊維)
  • 主菜
    肉、魚、卵、大豆食品…たんぱく質、脂質
  • 副菜
    野菜、きのこ、海藻…食物繊維、ビタミン、ミネラル

一品料理(丼物、麺類、カレー)は主食を中心としているため、糖質の過剰摂取に繋がりやすい傾向にあります。料理別に食事を選ぶポイントをご紹介します。

丼物よりも定食を!

牛丼、カツ丼、天丼、親子丼など丼物のごはんは一般的に250〜300g、定食のご飯は普通盛り150~200gです。つまり、丼物のご飯は定食より多く盛られています。
ご飯に含まれる糖質はエネルギー源のひとつですが、血糖値を最も上げる栄養素でもあります。糖質を多く摂りすぎると、エネルギーとして使われなかった糖質が溜まり、中性脂肪に変化するため、肥満に繋がりやすくなります。
ご飯を50~100g減らすと、エネルギー量は80kcal~160kcal減ります。つまり、定食を選ぶと1食当たりの糖質は適正量に近づきます。
さらに、丼物は主食、主菜の組み合わせが多く副菜が不足しますが、定食は主食、主菜、副菜、汁物が揃う一汁三菜で、まさにバランスの良い食事です。意識して定食を選ぶことをおすすめします。

ご飯の種類が選べる!積極的に変更を!

定食屋や和食チェーン店では、白米から玄米や雑穀米、麦ご飯などに変更できるお店が増えました。これらに置き換えると食物繊維やミネラル、ビタミンがUPします。
食物繊維は糖質の吸収を緩やかにし、血糖値の上昇を抑え、脂質や塩分が過剰に吸収されるのを防ぎます。糖質、脂質、塩分を過剰に摂取しやすい外食での主食の置き換えはメリットがあると言えますので積極的に変更しましょう。

麺類には主菜、副菜を追加し、栄養アップ!

ラーメン+ご飯、うどんorそば+ミニ丼、パスタ+パンなど「主食+主食」の組み合わせは糖質の過剰摂取になります。主食+主菜、副菜に変えると栄養バランスが整います。具体的な方法をメニュー別にご紹介します。

  • ラーメン
    ほうれん草やもやし、わかめなどを追加したり、野菜が沢山摂れるタンメン、冷やし中華を選ぶようにしましょう。
  • うどん、そば
    大根おろし、わかめを追加すると副菜が揃います。山菜蕎麦やとろろ蕎麦を選ぶのも良いでしょう。月見うどんや月見そばを選ぶと卵からたんぱく質が摂れ、主食+主菜が揃います。また、そばは麺自体に食物繊維を含み塩分量が少ないため、麺類の中ではおすすめです。
    一方で、うどんやそばと相性の良いかき揚げや天ぷらは、衣に油がたっぷり吸収されています。見た目以上に野菜が摂れず、脂質の摂取に繋がってしまうので注意が必要です。
  • パスタ
    パスタのみではなく、サラダを付けてバランスを整えましょう。具沢山(肉、魚介類)のパスタを選ぶと主食+主菜が揃います。

汁物は残す

汁物には塩分が多く含まれています。塩分の目標量は、成人男性1日当たり7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されていますが、ラーメン1杯の塩分量は約7gで、完食した場合1食で1日の塩分量に達してしまいます。塩分の8割はスープに含まれているため、スープは残し、減塩に繋げましょう。[参考:日本人の食事摂取基準(2020年版)]

調理方法を意識しよう

同じ食材でも調理方法によりカロリーは変化します。揚げ物、洋食、中華料理など油を使ったメニューは脂質が多くなりがちです。脂質のエネルギーは糖質やたんぱく質の2倍以上あります。

たとえば、

  • 鶏もも肉185g使用
    鶏の唐揚げ 638kcal>鶏肉のソテー 397kca>鶏肉茹で 377kcal
  • 豚ロース130g使用
    豚かつ 552kcal>豚肉のソテー 379kcal>豚肉茹で 231kcal

揚げ>焼き>茹での順番でカロリーが減っていることが分かります。調理方法は焼き、茹で、魚なら刺身もおすすめです。

食材の選び方

肉、魚、卵、大豆製品などを使用したメニューはたんぱく質が豊富です。たんぱく質は筋肉をはじめ、内臓、皮膚、爪、血液など体のもとになる栄養素です。たんぱく質の1日当たりの推奨量は成人男性1日当たり65g(65歳以上は60g)女性50gです[日本人の食事摂取基準(2020年版)]。ただし、腎臓病の方はご自身の必要量を医師に相談しましょう。

栄養指導で食生活を伺うと、意識していない限りたんぱく質が不足している方が多く見られます。肉は高たんぱく質ですが、部位によっては脂質が多いため注意が必要です。ハンバーグ、メンチカツ、餃子、焼売などに使用されるひき肉は、脂身と一緒にミンチにされているためカロリーが高くなりやすいです。豚肉や牛肉の赤身、鶏むね肉を選ぶと効率よくたんぱく質を摂ることができます。

また、肉には飽和脂肪酸という動脈硬化を引き起こすLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を増やす働きがあるため、肉だけでなく魚、卵、大豆製品をバランス良く摂りましょう。
魚の中でも青魚といわれているサバ、サンマ、イワシなどには不飽和脂肪酸が多いとされています。不飽和脂肪酸には、動脈硬化や血栓を防ぐ効果、血圧を下げたりLDLコレステロールを減らしたりするといった嬉しい働きがあります。

サルスクリニックにはいつも管理栄養士がいます

私たちが栄養指導で心がけていることは、無理しすぎず、続けられる提案をすることです。食生活だけでなく、ライフスタイルやご職業などの背景を踏まえ、実行できる内容を患者さんと共に考えてその継続をサポートします。糖尿病や腎不全、高血圧、脂質異常症など、食事が大きく関わる疾患では食事内容を見直すことも大切な治療の一つです。食事に関して気になること、不安なことなどがありましたら、ぜひ管理栄養士にご相談ください。

 

 

 

<参考文献>

伊藤貞嘉.日本人の食事摂取基準.第一出版:初版 (April 1, 2020)

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