胃カメラは胃の健康を守るための第一歩~現代の胃カメラは苦痛が少ない?~

この記事のポイント

  1. 「なんとなくの胃の不調」は放置せず、早めの検査を
  2. 胃の内視鏡検査は胃がんの早期発見やさまざまな病気の予防に有効
  3. 医療技術の進歩で「つらい胃カメラ」の苦痛は大幅に軽減
  4. 胃の健康を知ることは「未来の自分への投資」

「胃がもたれる」、「食後に胸やけがする」、「なんとなく胃の調子が悪い」、日常的にこんな症状を感じている方はいらっしゃいませんか?
多くの方が「これくらいなら大丈夫だろう」と見過ごしてしまいがちです。
また、「もし病気が見つかったらどうしよう」という不安や、「胃カメラは苦しい」というイメージから、病院に行くのをためらってしまう方もいるかもしれません。その「なんとなくの不調」は、胃からの大切なサインかもしれません。
今回は、皆さんが抱いている「胃カメラ」への不安を少しでも和らげ、積極的に検査を受けていただくための情報をお伝えしたいと思います。

なぜ、胃カメラが大切なのか

胃の不調は、胃炎や逆流性食道炎など、さまざまな病気のサインである可能性があります。そのなかで最も注意すべきなのが「胃がん」です。胃がんは、早期発見・早期治療ができれば、ほとんどの場合治癒が見込める病気です。しかし、初期の胃がんには自覚症状がほとんどありません。そのため、ある程度進行した段階で見つかることも少なくありません。そこで重要になるのが、定期的な胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)です。

胃カメラは、内視鏡を使って食道、胃、十二指腸の粘膜面を直接観察する検査です。この検査によって、粘膜のわずかな変化も見つけることができます。もし、病変が見つかった場合でも、その場で組織を採取して詳しく調べることができ、診断の確定につながります。

「まだ若いから大丈夫」と考えている方もいるかもしれませんが、胃がんは年齢に関係なく発症する可能性があります。特に40歳を過ぎたら、何も症状がなくても一度は胃カメラ検査を受けることを強くお勧めします。

「胃カメラはつらい」というイメージはもう古い?

「昔、胃カメラを受けたけど、つらくて二度とやりたくない」、そうおっしゃる方もいらっしゃいます。確かに、以前の胃カメラは、やや太い内視鏡を口から入れるため、吐き気や不快感を感じやすい苦痛を伴うこともある検査でした。しかし、医療技術は日々進化してきており、現在は皆さんが想像している「つらい胃カメラ」とは全く異なるものになっていることをご存知でしょうか?

鼻から入れる「経鼻内視鏡」

現在、多くのクリニックで導入されているのが、鼻から挿入する「経鼻内視鏡」です。

経鼻内視鏡は、従来の内視鏡よりも細く、鼻腔から喉、食道へと進めていきます。舌の根元を刺激することがなく、ほとんど吐き気を感じることがありません。検査中に医師と会話することも可能です。

鎮静剤を使った「経口内視鏡」

それでも「やっぱり口からの内視鏡検査の方が良い」という方には、鎮静剤を使用しての内視鏡検査もおすすめしています。

点滴から鎮静剤を投与することで、半分眠ったような状態で検査を受けることができます。検査中の記憶がほとんどないため、苦痛を感じることがほとんどありません。ただし、検査後もしばらくは薬が効いているため、ご自身での車の運転などは避ける必要があります。

当院では、患者さん一人ひとりの状態や希望に合わせて、最適な検査方法をご提案しています。検査前にどの方法が良いか、医師やスタッフにご相談ください。

胃カメラでわかること

胃カメラでは、胃がんだけでなく、以下のような様々な病気の診断に役立ちます。

  • (萎縮性)胃炎、胃十二指腸潰瘍
    胃の粘膜が炎症を起こしている状態。将来的に胃がんのリスクが高まることもあります。
  • 逆流性食道炎
    胃酸が食道に逆流することで、胸やけやのどの違和感などの症状を引き起こします。
  • 食道がん
    食道にできるがんです。内視鏡検査で早期に発見できる場合があります。
  • ピロリ菌感染症
    胃がんや胃潰瘍などの原因となります。

ピロリ菌感染は実に日本人の胃がんの9割以上に関与していると言われています。胃カメラを行うことで、その感染の可能性について評価することができます。ピロリ菌の感染の有無に関しては、直接胃の粘膜を採取する方法のほか、血液検査や便の検査、呼気試験などの検査で評価します。ピロリ菌陽性であれば除菌治療を行うことで、胃がんになるリスクの上昇をくい止められます。

検査を受ける前の準備と当日の流れ

「胃カメラ」と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、検査自体は10分以内に終わることがほとんどです。

検査前の準備

検査前日の夕食は、軽めに済ませ、午後8時以降は飲食を控えていただきます。常用しているお薬がある場合は、事前に医師にご相談ください。

検査当日の流れ

  • 来院・受付
    予約した時間にクリニックへお越しください。
  • 問診・着替え
    体調やアレルギーの有無などを確認し、検査着に着替えていただきます。
  • 検査
    担当の医師が検査を行います。

検査説明

検査終了後、医師から内視鏡検査の画像を用いた結果説明があります。

検査後

注意事項を確認し、ご帰宅となります。鎮静剤を使用した場合は、しばらく休んでからお帰りいただきます。

胃の健康は、体の健康のバロメーター

胃の不調は、日々のストレスや食生活の乱れが原因で起こることもありますしかし、安易に「ストレスのせい」「食べ過ぎたせい」と片付けてしまう前に、一度専門医に相談してみることも大切です。

「健診で異常がなかったから大丈夫。」と思っている方も注意が必要です。バリウムを飲む胃のレントゲン検査(胃透視検査)では、見つけにくい病変もあります。また、早期の胃がんは、内視鏡を用いた検査でなければ発見が難しいことも少なくありません。

自分の胃の状態を正確に知ることは、将来の健康を守るための大切な投資です。もし、この記事を読んで、少しでも「検査を受けてみようかな」と思ってくださったなら、まずは当院へお気軽にご相談ください。皆さんの不安を一つひとつ解消しながら、丁寧に対応させていただきます。

未来の健康のために、勇気を出して一歩踏み出してみませんか?

サルスクリニックの上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

サルスクリニックの人間ドック