骨粗鬆症になりやすい人はどんな人?
骨粗鬆症のメカニズムについて知っておこう
人の体には「古い骨は壊され(骨吸収)、新しい骨で補充される(骨形成)」という新陳代謝機構(骨リモデリング)という仕組みがあり、生涯にわたってこのサイクルは繰り返されます。
通常は、骨吸収と骨形成の均衡が保たれていますが、さまざまな内的・外的要因により、骨が壊される「骨吸収」が、骨が作られる「骨形成」を上回ることで骨がもろくなり、骨粗鬆症を発症します。
骨粗鬆症発症の危険因子とは(骨粗鬆症になりやすい人)
骨粗鬆症のリスクは年齢とともに上昇します。
特に女性は、もともと骨のカルシウム量が少ないことに加え、閉経により女性ホルモンの分泌が低下して骨のカルシウム量が減るため、骨粗鬆症になりやすいということがわかっています。
女性だけでなく、男性でも80歳以上の約5割の方が骨粗鬆症といわれているため、加齢が進むと男女ともに注意が必要です。加齢を含め、下記項目に当てはまる方は骨粗鬆症になりやすい可能性があります。当てはまる項目がないかチェックしてみましょう。
- 60歳以上
- 閉経後の女性
- 細身の体格(BMI19未満)
- 両親のどちらかが太もものつけ根を骨折したことがある
- 喫煙習慣がある
- 日常的にお酒を飲む量が多い
※毎日3単位以上(1単位=8~10g)のアルコール
(例)
ビール(5度):コップ(285ml)3杯以上
日本酒(15度):1.5合(270ml)以上
ウイスキー(40度):シングル3杯(90ml)以上 - カルシウムを意識した食事をしていない
- 日光に当たる時間が少ない
- 関節リウマチや副甲状腺機能亢進症と診断されたことがある
- 糖尿病や慢性腎臓病で通院中である
- グルココルチコイド(ステロイド)薬を使用(服用・吸引など)している
ひとつでも当てはまる項目がある方は、骨粗鬆症の危険因子を持っている可能性があるため注意が必要です。
骨粗鬆症の検査方法について
骨粗鬆症は外見からは分かりづらく、また、自覚症状が無いため自分では気が付きにくい病気です。 骨の状態を確認するためにも「骨粗鬆症検診」などを活用しましょう。
骨粗鬆症検診を受ける
多くの市区町村では、健康増進法に基づき、40歳以上の女性を対象として5歳刻みで骨粗鬆症検診が実施されています。
対象年齢以外でも検診を実施している市区町村もあるため、地域のホームページや広報誌などを確認してみましょう。保健所などでも詳細を聞くことができます。骨粗鬆症検診では、問診及び骨量を測定し診断します。
健康診断にオプションとして追加する
骨密度検査は一般的な健康診断の項目には含まれていませんが、オプション検査として選べる場合があります。定期的な健康診断の際に、合わせて申し込みをすることが可能です。
医療機関を受診する
病院やかかりつけ医で測定してもらうことも可能です。骨密度測定装置があるか確認し、気軽に足を運んでみましょう。(※事前に予約が必要な場合もあります。)
骨粗鬆症の予防と治療の3本柱
骨粗鬆症の予防と治療の3本柱は「運動」と「薬物療法」、そして「栄養」です。
運動療法
運動の目的は主に3つあります。
- 筋力や筋肉量を維持する(※ロコモ を防ぐ)※ロコモティブシンドロームの略称
- 骨の強度の維持(骨に刺激を与える)
- バランス感覚の維持・改善(転倒防止)
1日30分ほど歩いて買い物に出かけたり、ゲートボールなどの軽い運動でも問題ありませんが、できるだけ毎日行うことが推奨されます。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDは、日光を浴びることで体内で合成されます。運動と同時に日光浴ができるウォーキングや屋外での活動を取り入れると効果的です。
※日光浴は、夏であれば木陰で30分、冬であれば1時間程度、体の一部を日光にあてるだけで十分です。
薬物療法
骨粗鬆症と診断されると、多くの場合、骨折予防の為に薬物治療が開始されます。
薬の開発が進み、現在の骨粗鬆症治療薬は、骨を強くし、骨折しにくくするといった十分な効果が期待できます。また、飲み薬、点滴薬、注射など、剤形の選択肢も増えています。
骨粗鬆症の薬には大きく分けて3つのタイプがあります。
- 骨吸収抑制
骨を壊す働きを抑える薬 - 骨形成促進
骨を作る働きを高める薬 - 骨代謝調整
骨の作り替えのバランスを整える薬
骨折予防のためには、正しい用法で継続して使用することが大切です。症状に合わせて、医師や薬剤師と相談しながら、薬による治療を根気よく続けていきましょう。
栄養(食事療法)
食事面では、適切な栄養量の確保と、必要十分なたんぱく質摂取量の確保が大切です。そのうえで、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの骨にとって特に大切な栄養素を摂取しましょう。
骨の健康に大切な主な栄養素と、その働きを紹介します。
- カルシウム
骨量の維持・増加を助け、筋肉の収縮や神経を安定させる作用がある
代表的な食品:乳製品、小魚 - ビタミンD
小腸の中でカルシウムの吸収を促進する
代表的な食品:サケ・ウナギなどの魚類、キノコ類 - ビタミンK
カルシウムの骨への沈着を促し、骨を強くする
代表的な食品:納豆、緑黄色野菜
次に、食生活における大事なポイントについて解説します。キーワードは、骨の主成分である「カルシウム」です。
骨粗鬆症予防、骨折予防のための食生活の大事なポイント
骨の健康のためには骨の主成分でもあるカルシウムの摂取が重要ですが、カルシウムだけ摂ればよいというものではありません。エネルギーとさまざまな栄養素とのバランスを見ながら、過不足のないように摂取することが大切です。
規則正しく1日3食摂り、バランスの良い食事を心がけましょう。
食事を抜くと、必要なエネルギーや栄養素が不足する可能性が高くなります。以下の3つを揃えると、バランスの良い食事になります。
- 主食(ごはん・パン・麺)
- 主菜(肉・魚・卵・大豆料理)
- 副菜(野菜・きのこ・いも・海藻など)
毎日の食事の中で、様々な種類の食品を偏りなく取り入れることで、多くの栄養素を摂取することができます。
特にコントロールが難しい、外食での栄養バランスの整え方については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
カルシウム摂取量をアップさせる方法
バランスの良い食事を心がけていても、カルシウムは摂取推奨量を満たすことが難しい栄養素のひとつです。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、成人1人1日当たりの推奨量を、男性で700mgから800mg、女性で650mgと設定していますが、実際、カルシウムの摂取量は各年代で推奨量を下回っています。
世界的にも栄養バランスが良いことで知られている和食ですが、実は、欧米と比較して乳製品の摂取が少ないことでカルシウムが不足しやすく、味噌や醤油を多用することで塩分過多になりやすいという弱点があります。
牛乳などの乳製品のほか、小魚や野菜、海藻、豆類にもカルシウムが含まれています。カルシウムの吸収効率が最も高い食品は乳製品です。牛乳やヨーグルトの適量摂取のほか、ミルク煮などの料理にして日々の食事にも積極的に取り入れましょう。
※脂質異常症と診断されている方においては、適量を超えると脂質値が上昇する可能性があります。適量の範囲内で乳製品を摂取しましょう。
カルシウムを多く摂ることができる食品例
- 牛乳 コップ1杯(200g)220mg
- ヨーグルト 1パック(100g)120mg
- プロセスチーズ 1切れ(20g)126mg
- さくらえび(素干し)大さじ1杯 100mg
- ししゃも 3尾(45g)149mg
- 小松菜 1/4束(70g)119mg
- 菜の花 1/4束(50g)80mg
- ひじき 煮物1食分(10g)140mg
- 木綿豆腐 約1/2丁(150g)180mg
- 納豆 1パック(50g)45mg
- 厚揚げ 1/2枚(100g)240mg
控えたい食品、避けたい嗜好品、気をつけたい習慣など
骨を強くするための食品をご紹介しましたが、いくつかの食品は骨粗鬆症予防のためには過剰な摂取を避けた方がよいとされています。
リンを多く含む食品
過剰な摂取は、体内でのカルシウムの働きを阻害します。
例:インスタント麺、スナック菓子、添加物を含む清涼飲料水、ハムなどの加工肉、ちくわなどの練り物など
食塩
塩分の過剰摂取は、尿中へのカルシウム排泄を増加させる一因となります。食塩の1日の摂取目安量は、男性で7.5g未満、 女性で6.5g未満です。
カフェイン
カフェインの過剰摂取は尿中へのカルシウム排泄を増加させ、骨の形成を抑制すると考えられています。摂りすぎには注意しましょう。
例:コーヒー、紅茶、緑茶(玉露や抹茶入り)など
アルコール
適度な飲酒は食欲を増進させます。栄養を十分にとることができれば、かえってカルシウムをたくさん取り込むことができますが、過度なアルコールの習慣は骨密度を低下させる可能性があるため、骨折のリスクを増大させます。
ビールでは500ml、日本酒では1合、ワインは180mlまでが1日の目安量です。
タバコ
胃腸の働きを抑え、食欲をなくすことでカルシウムの吸収を妨げます。
「年齢のせい」と思われがちな骨粗鬆症ですが、このように、日々の生活習慣の積み重ねで予防できる病気です。バランスのとれた食事、適度な運動、そして定期的な検診を心がけることで、骨を健康に保つことができます。今日の食事や行動から、骨の健康を意識してみるようにしましょう。
サルスクリニックにはいつも管理栄養士がいます
サルスクリニックには医師や看護師だけでなく、管理栄養士が常駐しています。
食生活だけでなく、ライフスタイルやご職業などの背景を踏まえ、実行できる内容を患者さんと共に考え、その継続をサポートします。お気軽にご相談ください。
【参考文献】
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上西一弘. (2022). 骨粗鬆症 検診・保健指導マニュアル 第2版 「栄養指導」の改訂版の作成 2022年版. 女子栄養大学 栄養生理学研究室. 厚生労働科学研究成果データベース.
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厚生労働科学研究成果データベース. (2022). 骨粗鬆症の予防及び検診提供体制の整備のための研究 [文献番号 202109011A].
- 公益財団法人骨粗鬆症財団. (n.d.). 公益財団法人 骨粗鬆症財団 公式サイト
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日本病態栄養学会(編集). (2022). 改定第7版病態栄養専門管理栄養士のための病態栄養ガイドブック. 小立健太(発行者). 株式会社南江堂.
