尿路結石を放置する危険性とは? ~完治せずに結石が残ったままの場合や、再発する可能性も~

この記事のポイント

  1. 尿路結石は痛みが引いても完治したとは限らない
  2. 尿路結石は再発率が高いため、再発予防に努めることが大切
  3. 尿路結石の再発予防のためには、食生活を改善し、日ごろから水分を取ることが重要

尿路結石とは、腎臓から尿道までにカルシウムや尿酸などの成分がかたまった石ができることです。結石ができた場所によって腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石などと分けて呼ばれます。症状がない場合もありますが、一般的には背中や脇腹の痛み、頻尿、残尿感、血尿などがみられます。本記事では、尿路結石と診断されて経過観察となった後に放置するリスクや、再発防止の方法などについて詳しく解説します。

尿路結石を放置するリスクとは?

尿路結石は、経過観察中に痛みが引いても完治しているとは限りません。また、再発のリスクもあるため、放置するのは危険です。

痛みが引いても“完治”ではない

尿路結石は結石が体の外に排出されれば、それに伴って痛みも引きます。しかし、尿管内に結石が残っていても、時間の経過とともに痛みが引く場合があるため、痛みがなくなったからといって必ずしも完治しているとは限りません。

結石が尿管に詰まった状態が続けば腎機能が低下したり、腎盂腎炎じんうじんえん (腎臓に細菌が感染することで熱などが出る病気)が生じたりする場合もあります。そのため、痛みが引いたとしても自己判断で治ったと考えずに、医療機関で結石が排出されたかを確認してもらうことが大切です。

再発防止には生活習慣の改善が大切

尿路結石は再発率の高い病気のため、結石ができた原因を特定して再発防止に取り組むことが大切です。医療機関で結石の成分を分析し、その結果によって食生活の改善や薬物療法が行われます。

肥満や生活習慣病なども結石のリスクを高めるとされているので、これらを改善していくことも重要です。食事療法やその効果の確認を続けるために、継続的に通院しましょう。

尿路結石の治療

痛みがある場合は、まず痛みを抑える治療を行います。鎮痙剤ちんけいざい(筋肉のけいれんを抑える薬)や鎮痛剤を静脈注射、筋肉注射、坐薬などで投与します。また、痛みの発作の軽減を目的に輸液で尿量を増加させる場合もあります。この後、結石を排除しますが、大きさなどによって方法が異なります。

自然排石

結石が小さい場合は、日常生活の改善だけで尿から自然に結石が排出されることが期待できるため、積極的な排石治療を行わずに経過観察を行うことがあります。この場合は、水をたくさん飲んで尿を増やしたり、結石が排出されやすくなるように適度な運動を行ったりします。また薬で尿管の緊張を和らげ、排石を促すこともあります。

外科的治療

結石が大きい、痛みが繰り返される、尿路感染を起こしている、腎臓の機能悪化の心配があるといった場合は、外科的治療で積極的に排石を行うことがあります。

技術の進歩によって開腹手術による結石の摘出はほとんど行われなくなり、近年はESWL(体の外から衝撃波を当てて砕く)という方法で治療を行うことが一般的になっています。そのほか、結石が2cm以下であればTUL(尿道から管を入れて結石を砕き、摘出する方法)、結石が2cm以上の場合や、尿管から排出しづらいと予想される場合はPNL(背中から腎臓まで通路を作り、結石を砕いて摘出する方法)などが選択されることがあります。

尿路結石の再発予防

尿路結石は再発しやすいため、再発予防も重要です。結石ができる原因は十分に解明されていませんが、危険因子について分かっているものもあります。

尿路結石のリスクを高める要因としては、結石の元となる物質の過剰摂取、食事などの生活習慣の乱れ、糖尿病や高血圧といった生活習慣病などが挙げられるため、注意しましょう。

尿路結石の再発を予防するためには、まず食生活の改善を行います。栄養バランスの取れた食事を心がけ、動物性たんぱく質や塩分、糖分、脂肪のほか、結石の元となるシュウ酸(ほうれん草やたけのこ、チョコレートなどに含まれる)を取りすぎないようにしましょう。

また、1日2L以上の水分を摂取するのが理想的だといわれています。特に水やお茶が適しており、ジュースやコーヒー、紅茶、アルコールなどは結石の元となる物質(シュウ酸、カルシウム、尿酸など)が尿中に増えるため控えましょう。

尿路結石は完治の確認と再発予防が大切!

尿路結石は、痛みが引いても排石されたとは限らず、完治していない場合があるため自己判断での放置は危険です。また再発率が高い病気のため、治療が終わった後も再発予防を行うことが重要です。特に、食事や水分摂取に注意が必要なので、医療機関でサポートを受けつつ、定期的に検査でその効果を確認しましょう。

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