動悸の原因はアルコールやアセトアルデヒドの作用
お酒を飲むと、一時的に血圧が下がって脈拍が上がるとされています。それには、アルコール自体の作用に加え、分解酵素によってアルコールが姿を変えたアセトアルデヒドという物質が作用しています。
アルコールとアセトアルデヒドには、血管を広げる作用があります。血管が広がると血圧が下がり、脳が全身に血液を流そうとすることから脈拍が増加し、動悸がするとされます。
飲酒後の動悸の原因が病気の可能性は?
お酒を飲んで動悸がするのはアルコール自体やその代謝物であるアセトアルデヒドの作用であるほか、高血圧や心臓病、不整脈などが隠れている可能性もあります。
高血圧
動悸は進行した高血圧の自覚症状として、よく現れます。一時的な飲酒は血圧を下げることが多いとされますが、長い間飲み続けると血圧の平均値が上がって高血圧症の原因になると考えられています。
アルコールで血圧が上がる理由は、以下のように考えられています。
- 血管の収縮反応が高まる
- 心臓の拍動を速める交感神経の活動を高める
- 腎臓からマグネシウムやカルシウムが失われる
など
アルコール性心筋症
心筋症とは、心臓から全身へ血液を送る機能(ポンプ機能)に障害が起きる病気です。心筋症の中でも、長期に及ぶアルコールの摂取との関連が指摘されているのがアルコール性心筋症です。
1日80gのアルコールを5年以上飲むことで発症するとされています。心筋症の症状には動悸や息切れがあり、大量にお酒を長期間飲んでいる人は、このアルコール性心筋症による動悸を感じている可能性もあります。
心房細動
アルコールを摂取すると、不整脈の1つである“心房細動”が誘発されるといわれています。心房細動とは心臓の“心房”という部分に異常な電気信号が起こることによって、細かく震えるような異常な動きが生じ、脈が乱れてしまう病気です。無症状の場合もありますが、動悸や息切れなどの症状が現れることもあります。
1日のアルコール摂取量の平均が2合以上で、心房細動が生じるリスクがおよそ2倍になるという報告もあります。
フラッシング反応
病気ではありませんが、アセトアルデヒドを分解する速度が遅い体質の方は少量のお酒(ビールをコップ1杯程度)で、動悸をはじめ吐き気や眠気、頭痛、顔が赤くなるなどの症状を引き起こします。この反応をフラッシング反応といいます。
飲酒で動悸がする時の対処法
飲酒によって動悸がする原因が、高血圧やアルコール性心筋症、心房細動などの病気やフラッシング反応のいずれの場合も対処法はお酒を控えることです。
高血圧の場合は、長期間の飲酒のほか、喫煙や塩分の過剰摂取、肥満も血圧を上げる一因になります。生活習慣を見直し、節酒に加えて適度な運動と禁煙も心がけましょう。
アルコール性心筋症の場合、早期であればお酒をやめることで心臓の機能が改善するといわれています。ただし、進行すると断酒だけでは改善が望めないため、こちらも早めの自覚と対処が大切です。
また、フラッシング反応は長年飲酒を続けていると耐性がつくことが知られています。ただし、それはフラッシング反応がなくなっただけで、体内のアルコール分解酵素が増えたわけではありません。アルコール分解酵素の少ない人がお酒に強くなったと勘違いをして飲み続けると、食道がんや咽頭がんの発症率が上昇する危険があるため、注意しましょう。
お酒を飲んで動悸がするときは、一度クリニックへ相談を
飲酒中や飲酒後に動悸を感じるときは、高血圧やアルコール性心筋症、心房細動といった病気が隠れていることもあります。それらを無視して多量の飲酒を続けると、臓器や血管に負担がかかり病気が進行してしまいます。飲酒すると動悸がする、お酒の適切な飲み方に悩んでいるなど不安なことがあれば、一度クリニックに相談することをおすすめします。
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