心不全ではなぜ塩分制限が必要なの?
心不全を改善するうえで塩分制限が必要となる理由は、塩分を取りすぎると心臓に負担がかかるからです。
塩分の成分である“ナトリウム”は体に水をため込む性質を持っており、塩分を取りすぎると体の中の血液量が増加して、血液を循環させている心臓に負担をかけてしまいます。
よって、心臓のはたらきが低下している心不全では、心臓への負担をなるべく軽くするために塩分制限を行うことが大切となります。
心不全ではどれくらい塩分制限をすればよい?
心不全の方の場合、健康な方よりさらに塩分を控えめにすることが推奨されます。具体的な摂取目標量には個人差がありますが、軽症の方で1日に7g以下、重症の方で1日に3g以下を目指すことが一般的です。
健康な方の1日の塩分摂取量は?
世界保健機関(WHO)では、1日の塩分摂取目標量は5gとされています。しかしながら、日本では味噌や醤油などの伝統的な調味料を使うことや、漬物など保存がきく加工食品を食べることなど、もともとの食文化が塩分の多い国です。そのため、18歳以上の健康な方の1日の塩分摂取目標量を男性で8g未満、女性で7g未満とWHOの設定よりやや高く設定しています。
現状、日本ではバランスのよい食事を心がけていても、塩分を取りすぎている可能性が高いといえます。実際に20歳以上の方では、1日に平均10g程度の塩分を摂取しているといわれています。そのため、心不全の場合は普段の食事を工夫する必要があります。
塩分制限のポイント
以下では、塩分制限のポイントについてご紹介します。塩分が制限された食事は味気ないイメージがありますが、工夫することで食事を楽しむことができるといわれています。
具体的な塩分制限の方法などについては、医師や管理栄養士の指示に従い、気になることがあれば相談するようにしましょう。
まず日頃食べているものの塩分をチェックする
まずは日頃食べているもののパッケージを確認し、塩分量をチェックすることから始めてみましょう。
たとえば、ハムなど肉の加工食品やかまぼこなど魚介類の練り物、お酒のおつまみなどには塩分が多く含まれています。また主食でいえば、米には塩分が含まれていませんが、パンや麺類には塩分が含まれています。どんな食品に塩分が多く含まれているかを知ることで、食品を選ぶ際に役立ちます。
素材の味を楽しむようにする
なるべく調味料の味に頼らないで、素材の味を楽しむ食事を心がけてみましょう。徐々に慣れてくると、濃い味付けをしないでも食材の本来の良さがわかるようになり美味しく食べられるといわれています。ポイントは、旬の新鮮な食材を選ぶことがうす味につながります。
また、漬物や汁物など明らかに塩分量の多い食べ物は、食べる回数や量を減らすことを意識しましょう。特に麺類を食べるときは汁を飲まないなどの工夫が大切です。
調味料を効果的に使用する
調味料を使用する際は、効果的に使用することを意識しましょう。まずは、こしょうなどの香辛料、ゆずやしそ、のり、かつおぶし、酢など塩分の少ない調味料を使用することを検討してみましょう。
また、塩そのものやしょうゆ、ソースなど塩分の多い調味料を使用したいときは工夫が大切です。
たとえば、塩であれば料理に混ぜるのではなく、上から振りかけることで少量でも塩気を感じることができます。また、しょうゆやソースは料理に上からかけるのではなく、小皿などに少量取ってつけながら食べたほうが塩分の摂取量が少なくなるといわれています。
さらに減塩しょうゆや減塩みそなどを上手に取り入れられれば、塩分を抑えながら美味しく食べることができます。
食べすぎに注意
いくら塩分の少ない食品を選んで食べていても、摂取する量が多ければ塩分の取りすぎにつながります。そのため食べすぎに注意し、たとえ減塩調味料であっても使いすぎに注意するようにしましょう。
適切な塩分制限をするために
前述のように、塩分制限のポイントは日頃のちょっとした意識が大切です。
塩分摂取目標量を達成するためには医師や管理栄養士などの指示に従い、正しく効果的に塩分制限を行うことが大切です。不明な点や不安な点があれば、自己判断せず専門家に相談するようにしましょう。
サルスクリニックでは管理栄養士による食事指導も実施
サルスクリニックは、患者さんが病気とともに楽しく生きることをサポートするクリニックです。心不全に対する治療はもちろん、管理栄養士による一人ひとりのライフスタイルに合った生活習慣の改善を提案しています。無理なく塩分制限ができるようお手伝いいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。
※サルスクリニックの健康診断について、詳しくはこちらをご覧ください。