高血圧とは?~定義やリスク、治療法を解説~

この記事のポイント

  1. 血圧が140/90mmHg以上の高血圧と呼ばれる状態では様々な病気のリスクが高まる
  2. 血圧が140/90mmHg未満でも高めの値には注意が必要
  3. 高血圧を改善するためには正しい生活習慣を身につけよう

高血圧とは、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上の状態を指します。高血圧を長く治療せずにいると心臓や動脈への負担が大きくなり、心不全・心臓発作(心筋梗塞)・透析に至る腎不全・脳卒中などのリスクを高めます。しかし、生活習慣の改善により血圧を下げることが可能な場合も多くあります。今回は、高血圧についての基礎知識と生活習慣の改善ポイントについて解説します。

そもそも血圧とは?

血圧とは血液が動脈(心臓から体の他の部分に血液を運ぶ血管)の内側に加える圧力のことです。個人の血圧は2つの測定値によって定義されます。

  • 収縮期血圧:心臓が収縮したとき(心拍時)に発生する動脈内の圧力
  • 拡張期血圧:心拍と心拍の間の心臓の弛緩時に発生する動脈内の圧力

健康診断などで血圧を測定したときに、「120/70」のような2つの数字で結果が示された覚えはありませんか?「上が120、下が70」という表現を聞いたことがある方も多いかと思います。この場合、120が「収縮期血圧」、70が「拡張期血圧」という意味になります。

高血圧の定義

成人における血圧値は以下のように分類されます。

  • 正常血圧:収縮期血圧120mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満
  • 正常高値血圧:収縮期血圧120~129mmHg、拡張期血圧80mmHg未満
  • 高値血圧:収縮期血圧130~139mmHg、拡張期血圧80~89mmHg
  • 高血圧:収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧 90mmHg以上

140/90mmHg以上が高血圧という診断になります。しかし、120~139/80~89mmHgの範囲の人は、120/80mmHg未満の人と比べて脳心血管病(脳卒中や心疾患)の発症率が高いということが研究により明らかになっています。また、この範囲に該当する人は、生涯のうちに高血圧に移行する確率が高いこともわかっています。そのため日本のガイドラインでは、「正常高値血圧」「高値血圧」と分類され、「高血圧」ではないものの、注意が必要な血圧値と位置づけられています。

高血圧の種類

高血圧には大きく分けて次の2種類があります。

  • 一次性高血圧(本態性高血圧):機序がはっきりわかっておらず多くの遺伝要因や環境要因の関与が疑われている。成人の高血圧患者の多くは一次性高血圧。
  • 二次性高血圧:腎臓やホルモン異常などの病気により、血圧が上がっている状態。

高血圧のリスク

高血圧という状態だけでは自覚症状はありません。ただし、120/80mmHg(正常血圧)を超えて血圧が高くなるほど、脳心血管病や慢性腎臓病などの罹患リスクは高くなります。高齢者において癌と同等程度の死亡原因となっている脳心血管病は、約50%が血圧の高さに起因します。つまり、高血圧を放っておくと死亡リスクを高めることになってしまうのです。

高血圧の危険因子

一次性高血圧の正確な原因はまだ不明ですが、いくつかの危険因子が特定されています。次のような方はリスクが高いとされています。

  • 年齢が高い
  • 肥満である
  • 高血圧の家族歴がある(親族に高血圧の人がいる)
  • ナトリウム(塩分)を多く摂取している
  • アルコールの摂取量が多い
  • 体を動かす機会が少ない

高血圧の診断

日本では推定4300万人もの人が高血圧です。しかしその中で、血圧をコントロールできている人は1200万人しかいません。自分が高血圧であると知りながらも治療していない人が450万人、治療をしても目標に達していない人が1250万人、そして自分が高血圧であると知らない人が1400万人もいる状態です。

そもそも血圧を測定しなければ高血圧に気づくことができません。これまで高血圧になったことがない人でも、40歳以上であれば年に1回は測定しましょう。肥満であったり、家族に高血圧の人がいたりと、先に挙げたような危険因子がある人や過去に血圧が高かったことのある人は、より頻繁に血圧をチェックする必要があります。

また、診察室での測定で血圧が高かった場合でも、自宅で測定し直したら正常な血圧値だった、ということがあります。この場合、診察室で医師や看護師などの医療従事者が血圧を測定すると一時的に血圧が上昇する「白衣性高血圧」の可能性があります。診察室での血圧測定値と自宅での測定結果を合わせて、高血圧であるかどうかを判断していきます。

高血圧の治療

高血圧の治療は通常、生活習慣の改善から始まります。人によってはこれだけでも血圧をコントロールすることができます。薬物療法を取り入れる場合でも、生活習慣の改善は必ず行わなければならない重要な治療です。

食生活を変える

食事の内容を変えることで、高血圧のコントロールが可能になります。

・塩分を控える

日本人は塩分の多い食事を好む傾向があるというのは、聞いたことや実感したことがあるのではないでしょうか?日本人の1日あたりの平均食塩摂取量は、平成29年の国民健康・栄養調査では、男性10.8g、女性9.1gと報告されています。これに対して高血圧治療のための減塩目標値は、1日あたり食塩6g未満であるため、毎食意識的に減塩に取り組む必要があります。しかし、たとえ目標値を達成できなかったとしても、少しずつでも食塩摂取量を減らせば、降圧効果は得られると言われています。まずはできる範囲から頑張っていきたいですね。できるだけストレスなく減塩するコツを紹介した記事もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

・カリウムや食物繊維を多く摂る

カリウムや食物繊維を多く摂ると余分なナトリウムの排出が促され、血圧が下がる可能性があります。野菜や果物に多く含まれるため、意識的に摂取しましょう。ただし、甘い果物で糖分を摂りすぎないように気をつけましょう。

・アルコールを減らす

飲酒の習慣も高血圧の原因となります。高血圧の管理においては、エタノールで男性は1日に20~30mL(おおよそ日本酒なら1合、ビール中瓶なら1本、焼酎半合、ウイスキーダブル1杯、ワイン2杯に相当)、女性はその半分程度までに制限する必要があります。

・カフェインを過剰摂取しない

カフェインを常用している人が適度な量のカフェイン(1日にコーヒー約2杯分)を摂取しても、通常は血圧に影響を与えません。しかし、過剰な量のカフェインは血圧を上昇させる可能性があります。

・高血圧予防のための食事療法(DASH食)

DASH食はアメリカで提唱された上記のような食事療法の多くを組み合わせたものです。果物・野菜・全粒穀物・食物繊維・低脂肪乳製品などを積極的に摂り、肉類は減らして飽和脂肪酸とコレステロールの摂取量を抑えます。DASH食の計画を厳格に守った場合、特に減塩食と組み合わせた場合には顕著な血圧の低下が見られます。

運動

定期的に運動をすると、たとえ体重は減らなくても血圧を下げることができます。米国心臓協会によると、血圧を下げるためには、週に150~300分の中強度の有酸素運動(早歩きなど)、または週に75~150分の高強度の有酸素運動(ジョギングなど)に加えて、筋力増強運動(レジスタンストレーニング、いわゆる「筋トレ」)を週に2回以上行うことが望ましいとされています。そしてこの効果を維持するためには、運動を継続的に行う必要があります。血圧を大幅に下げるためには以上のような運動が推奨されますが、ウォーキングのような穏やかな運動をするだけでも健康上のメリットはあります。

体重を減らす

肥満は、高血圧・糖尿病・心血管疾患などのリスクを高めます。ボディマス指数(BMI)が25以上の人は、わずかな減量でも血圧の大幅な低下が見られます。体重を減らすためには、食事のカロリーを減らし運動量を増やす必要があります。

血圧を上げる薬やサプリメントの服用を避ける

影響を受けやすい人が非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:ロキソニンやイブプロフェンなど)を服用すると、血圧が上昇することがあります。また、経口避妊薬・風邪薬(一部)・減量用製品などでも、血圧が上がる可能性があります。これらを定期的に服用していて血圧が高い場合は医療機関にご相談ください。

薬による治療

生活習慣の改善で血圧が下がらない場合の他、高齢の方や、動脈硬化・糖尿病・尿蛋白を合併する慢性腎臓病のある人、血圧が常時140/90mmHg以上である場合には、生活習慣の改善だけでなく、血圧を下げる薬の服用が必要なこともあります。薬については別の記事で詳しく解説します。

 

まずはクリニックで現状把握を!

知らず知らずのうちに身体に負担をかけてしまっている高血圧の怖さ、ご理解いただけたでしょうか?

サルスクリニックでは医師や看護師のほか、管理栄養士も含めた医療チームがサポートいたします。ライフスタイルやご職業などの背景も踏まえ、患者さんそれぞれに寄り添った治療をご提案させていただきます。できるだけ自分らしく楽しめる生活を続けながら、健康な身体を維持するためにも、定期的な検査と早めの取り組みは必要不可欠です。「高血圧でも、元気だから問題ない」「しばらく測っていないけど、きっと高血圧なんかじゃない」と思っている方も、是非一度、クリニックにお立ち寄りください。