高尿酸血症を放置することで起こる痛風
飽食の時代となり、以前はぜいたく病と言われた痛風も今ではありふれた疾患のひとつになりました。
高尿酸血症は特に男性に多く、近年急増しています。厚生労働省の調査によると、令和4年(2022年)時点で、痛風で通院している患者総数はおおよそ130万人を超えています。さらに、最近は20~30代の若年発症の増加もみられます。女性は比較的患者数が少ないものの、更年期をむかえて閉経すると高尿酸血症になりやすいため、性別に関係なく注意が必要です。
なぜ高尿酸血症になるの?
体内の細胞や食品に含まれるプリン体は、肝臓で分解され、尿酸という老廃物になります。その尿酸のバランスが崩れると高尿酸血症になります。体内では1日約700mgの尿酸が作られ、ほぼ同じ量が尿や便として排出されています。健康な成人であれば、常に約1200mgもの尿酸が体内に蓄積されており、この体内に溜まった尿酸を「尿酸プール」といいます。尿酸値は、尿酸を作る量と排出する量のバランスによって保たれているため、作る量が増えたり、出す量が減ったりするとそのバランスが崩れ、尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態である高尿酸血症になり、痛風のリスクが高まります。
高尿酸血症の分類と目標値
高尿酸血症は大きく以下の4つに分けられます。
この分類は適切な治療法・治療薬などの選択に重要です。
- 腸管からの排泄が少ない「腎外排泄低下型」
- 尿からの排泄が少ない「尿酸排泄低下型」
- 尿酸を作る量が多い「尿酸生産過剰型」
- これらが混ざった「混合型」
高尿酸血症の治療ではいずれも「尿酸値:6.0mg/dL以下」を目標としています。
痛みがなくても尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことで、痛風が再発しにくくなることが報告されています。
高尿酸血症の食事療法とは
①プリン体の多い食品を控える
プリン体はビールだけでなく、肉や魚などのたんぱく源にも多く含まれます。特に、あんこうの肝や白子、レバー、干物などはプリン体を多く含むため、注意が必要です。
②プリン体の少ない食品をメニューに取り入れる
今まで気にせずに食べていた食品を、プリン体の少ないものに置き換えるなどの工夫をしましょう。肉や魚の代わりに豆腐や納豆を使ったメニューを主菜にすることで、プリン体を抑えることができます。
③鍋物やラーメンの汁を飲み干さない
プリン体は水に溶けやすいため、プリン体を多く含む肉や魚からとったスープにもたくさんのプリン体が含まれている可能性があります。もったいないからといって飲み干すのは避けましょう。
④飲酒習慣を見直して適量を知ろう
プリン体はビール類に多く含まれていますが、実はその他のお酒にも含まれています。さらに、お酒のお供であるおつまみにはプリン体を多く含む食品を使用したものもあり、脂質や塩分が多くなるため、飲酒習慣のある人はお酒の種類や量、おつまみの内容などを見直しましょう。
⑤水分とアルカリ性の食品をしっかり摂る
水分を多く摂ることで尿の排泄が促進されます。また、尿のアルカリ化により尿酸が溶けやすい状態になるため、尿路結石の予防にもなります。水は1日2L以上を目安に、さらにアルカリ性食品である海藻類や野菜類も十分に摂りましょう。
⑥規則正しい食生活で適正体重を維持する
栄養バランスの良い食事を心がけることで体重を適正に近づけるとともに、尿酸値を下げる効果が期待できます。砂糖や果糖の摂りすぎも尿酸値の上昇につながるため注意が必要です。
⑦適正体重を維持するために無理のない範囲で運動する
食事とともに生活習慣の改善で重要になるのが適度な運動です。激しい無酸素運動は、筋肉に生じる乳酸が原因で乳酸排泄が優先され、尿酸排泄が抑制されてしまうため、尿酸値が上がると考えられています。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を無理のない範囲でおこないましょう。
高尿酸血症を改善するための具体的な方法については、こちらの記事でもご紹介しています。
サルスクリニックには管理栄養士がいます
私たち管理栄養士が心がけているのは、無理せず続けられるプランをご提案することです。食生活だけでなく、ライフスタイルや職業などの背景を踏まえて実践できる内容を共に考え、その継続をサポートします。生活習慣病に関する栄養指導を受けたい方は、一度当院へご相談ください。
【参考文献】
- 日本痛風・尿酸核酸学会 ガイドライン改定委員会編.”高尿酸血症・痛風の治療のガイドライン(第3版)”. 一般社団法人 日本痛風・尿酸核酸学会.2022-02-15
- 文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会.”日本食品標準成分表2020年版”.文部科学省.2020-12
- “痛風の治療を受けている総患者数は、130万人 令和4年(2022) 「国民生活基礎調査の概要」より”.日本生活習慣病予防協会.2024-10-22
