相談者の特徴
こちらの患者さんは30歳代の男性で、健康診断受診のために当院へお越しになりました。もともと血圧が高めで降圧剤を服用していたほか、近年は体重が増加傾向にあり、本人も「そろそろ痩せなければ」と考えていたそうです。
健康診断では、頸動脈エコーや心エコーで異常がみられたほか、血液検査で高脂血症、高尿酸血症、耐糖機能異常、脂肪肝などの所見がみられました。そこで当院では精密検査を行い、それぞれの症状にほかの病気が隠れていないか確認をすることを提案しました。
こちらの患者さんの場合、原因としてストレスや運動不足などが考えられました。
問診で患者さんの生活状況について詳しく伺ったところ、近年は仕事が忙しく、強いストレスを抱えやすい環境にあったといいます。また、新型コロナウイルス感染症流行下で外出が制限されることから運動不足に陥りやすく、これらの影響により、軽いうつ病のような症状も見られ、体の調子が悪いという自覚があったそうです。
治療方針
治療方針としては、精密検査によって医学的な評価を行うほか、患者さんの状況に応じて簡単にできる自己管理や生活習慣の改善を促しました。こちらのケースでは医師からできるアドバイスとして、以下のようなお話をしました。
体重・血圧の管理
まず簡単にできることとして、体重や血圧を自宅でこまめに測り、記録することをおすすめしました。体重や血圧を測定している方は多いのですが、できればただ測るだけでなく記録して、長期的な推移を可視化しておくことが大切です。これによって、本人の意識改革にもつながり、自分の健康状態に関心を持てるようになります。
食事内容の改善
こちらの患者さんの場合、高血圧が見受けられたため、塩分を控えた食事について話をしました。といっても、いきなり食事内容を大きく変更することは難しいと判断したため、まずは醤油を減塩醤油に変えてみる、いつもより意識的に野菜や果物を取り入れてみるといった小さな提案から始めてみました。
また、人が塩気をどのように感じ取るかなど、医学的な説明も行いました。これまで塩を多く取っていた方が、突然塩分を控えた食事をすると、一時的に「味が薄い」と感じることがあります。しかし2~4週間ほどその生活を続けると、体が塩分の少ない食事に慣れるため「味が薄い」と感じにくくなり、素材の味を感じられるようになることなどをお伝えしました。
ストレスマネジメントについて
また、こちらの患者さんは仕事が忙しい、運動不足であるなど、生活習慣の中に健康を損なうような明確な原因がありました。そのため睡眠をしっかり取るなど、ストレスを緩和する生活習慣についての指導を行ったほか、ストレスの原因についてもより詳しくお話を伺いました。
幸い、健康診断を受ける少し前に忙しい仕事を離れ、新しい職場に転職したとのこと。今後も患者さんの状況に応じてフォローを継続していくことになりました。
今後の方針
こちらの患者さんの場合は、今後も定期的に受診いただき、患者さんのペースに合わせて治療や生活習慣に関する指導を続けていく予定です。無理のないペースで長期的に通院していただくことによって、少しずつ健康への関心を高められればと思っています。
高血圧の患者さんの場合、生活習慣の改善によって血圧が下がり薬の量を減らせると、患者さんの成功体験につながり、健康への関心を高められる可能性があります。今後も体重や血圧の管理を継続していただき、少しでも健康な状態へ近づけることを願っています。
※サルスクリニックの健康診断について、詳しくはこちらをご覧ください。