総タンパクが低い原因は? ~基準値と考えられる病気をご紹介~

この記事のポイント

  1. 総タンパクとは血液中のタンパク質の総和のこと
  2. 血液検査の総タンパクの基準値は6.5~7.9g/dL
  3. 総タンパクが低くなる原因は、肝臓や腎臓の障害、低栄養など

健康診断の血液検査で調べられる総タンパク。基準値より低いと指摘されたものの、何を意味しているのかよく分からないなどの理由でそのままにしていませんか? 本記事では血液検査で総タンパクが示す意味と基準値より低いときに考えられる原因について解説します。

総タンパクとは?

総タンパクとは、血液中に存在している全てのタンパク質の総和のことです。血液検査の項目では“TP”(Total Proteinの略)とも記載されます。

総タンパクは、アルブミンとγ(ガンマ)-グロブリンの2つに大別されます。アルブミンは総タンパクの約60%を占めるもっとも多いタンパク質で、浸透圧を維持(水分を血管内に保つ)したり、血管内の物質の運搬や保持をしたりするはたらきを持ちます。またγ-グロブリンは、細菌やウイルスから体を守る免疫機能において重要な役割を持っています。

血液検査では総タンパクとともに、アルブミン数値や、アルブミンとγ-グロブリンの比率を示すA/Gエージー比を測定することもあります。

総タンパクの基準値

公益社団法人 日本人間ドック学会の判定基準によると、総タンパクの基準値は6.5~7.9g/dLです。また、6.1g/dL以下および8.4g/dL以上が異常値、6.2~6.4g/dLおよび8.0~8.3g/dLが要注意とされています。

総タンパクが低くなる原因は?

総タンパクが基準値より低い場合、いくつかの原因が考えられます。以下に主な原因について解説します。

肝硬変や肝臓がんなどの肝機能障害

総タンパクの主成分であるアルブミンやγ-グロブリンのほとんどは肝臓でつくられます。そのため、肝硬変や肝臓がんなどで肝臓の機能に障害が起きていると、肝臓でタンパク質が正常につくられなくなるため、総タンパクの低下がみられるようになります。

*肝硬変:肝臓の慢性的な炎症により徐々に肝臓が硬くなった状態

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは、腎臓の機能低下によって尿の中に多量のタンパク質が漏れ出てしまい、アルブミンなどの血液中のタンパク質が減少してしまう状態を指します。アルブミンの減少によって血管の中の水分が減少してしまうことで血管外に水分が増え、むくみの症状が現れます。そのほか、尿の泡立ちもネフローゼ症候群の特徴的な症状です。

低栄養

低栄養状態にある場合も、総タンパクが低下します。特に高齢の方の場合には、食事量が少なくなる、高カロリーのものを食べなくなるといった傾向があり、低栄養になりやすい状態にあります。低栄養になると体重の減少、筋力の低下、風邪にかかりやすい、傷が治りにくいなどの症状がみられるようになります。それによって、活動量や食事量がさらに低下するために低栄養の悪循環に陥り、心身の状態が衰える”フレイル(虚弱・老衰)”を招いてしまいます。また食事摂取量の減少だけでなく、感染症などによる炎症状態や心臓病などの急性疾患、体液量過剰状態などでも低栄養に似た病態となることがあります。

フレイルについてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。

総タンパクが低く不安な場合にはぜひご相談ください

健康診断で総タンパクが低いと指摘され、何か病気ではないかと不安に感じていることがあれば、サルスクリニックまでご相談ください。必要に応じて詳しい検査や生活改善のアドバイスも行っております。また、当院では各種健康診断も実施しています。オンライン診療も行っていますので、直接のご来院が難しい場合でも、ご自身の健康のことで不安に思うことがあればお気軽にご相談ください。

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