食物アレルギーとは?大人になってからも油断大敵
食物アレルギーとは、特定の食品に含まれる「たんぱく質」に対して免疫が過剰に反応し、体にさまざまな症状を引き起こす現象です。主な症状は、じんましんやかゆみなどの皮膚症状・口の中の違和感・腹痛・嘔吐などですが、重症の場合には「アナフィラキシー」と呼ばれる“命に関わるショック症状”を引き起こすこともあります。
「アレルギーは子どもがなるもの」と思われることもありますが、大人になってから特定の食べ物に反応するケースも増えています。これまで問題なく食べていたものであっても、ストレスや生活環境の変化などをきっかけに、ある日突然、発症するようになることもあります。
また、特定の食品を繰り返し過剰に摂取すると、体がその食品に対して反応しやすい状態となり、ある日突然アレルギー症状が現れることがあります。「健康に良いから」「好きだから」といって特定の食品を過剰に摂り続けるのではなく、日々の食事でさまざまな食品をバランスよく取り入れることが大切です。
見落としやすい「見えないアレルゲン」とは?
食物アレルギーで最も注意したいのは、「気づかないうちに食べてしまう」ことです。
以下のように、食材そのものを避けていても、加工工程や組み合わせによってアレルゲンを摂取してしまうことがあります。
- 揚げ物の衣に卵や小麦が使われている
- 練り製品(かまぼこ・ソーセージ等)に卵白や乳成分が含まれている
- 料理のコク出しにカシューナッツなどのナッツ類が使われている
- スープや和食のだしにエビやサバなどの魚介エキスが含まれている
- 料理中に調理器具や油を共有することで別の料理のアレルゲンが微量に混入する(コンタミネーション)
特に外食やお店で購入した総菜などは、見た目だけでは使用している材料を判断しきれないため、「メインの食材は大丈夫でも調味料や隠し味にアレルゲンが含まれていた」といったケースが少なくありません。
食品表示のルールが激変!「ナッツ類」の表示が義務に
食物アレルギー対策において最も基本となるのが「食品表示」の確認です。
現在、この表示ルールが大きな転換期を迎えています。
これまで日本では、食物アレルギー症状を引き起こす頻度や重症度が高い食品として、「 えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生(ピーナッツ)」の7品目を「特定原材料」として表示することが義務付けられていました。そして、2023年に「くるみ」の表示が追加され、さらに2026年4月1日には、「カシューナッツ」も新たに特定原材料に加わり、現在は計9品目の表示義務があります。
カシューナッツが追加された背景には、アレルギー症例の増加があります。
消費者庁の調査でも、カシューナッツによるアレルギー症例数は年々増加しており、原因食物の中でも上位に挙げられています。ナッツ類はごく少量でも強い症状を引き起こすことがあり、注意が必要な食品の一つです。
また、近年は健康志向の高まりから、ミックスナッツやナッツを使用した加工食品を日常的に摂る機会が増えています。このような背景から、くるみやカシューナッツだけでなく、アーモンドやピスタチオを含む「木の実類」としてアレルギーを発症する方が増えているといわれています。
なお、カシューナッツの表示義務化には2029年3月31日までの経過措置期間が設けられており、現在は新旧の表示が混在しています。そのため、ナッツ類にアレルギーがある方は、これまで以上に原材料表示を丁寧に確認することが重要です。
アレルギー検査で何がわかる?
アレルゲンがはっきりしない場合には、血液検査で調べることが可能です。
当院では「特異的IgE検査」を実施しているため、一度の採血で環境由来のアレルゲン(花粉・ダニ・ハウスダストなど)や食物のアレルゲン、合わせて39項目のアレルゲンについて確認することができます。
食物に関しては、卵・乳・小麦・大豆・米・そば・ピーナッツ・ごま・エビ・カニに加え、果物(リンゴ・キウイ・バナナ)、魚類(サバ・サケ・マグロ)、肉類(牛肉・鶏肉・豚肉)など幅広く調べることが可能です。
検査結果はそれぞれ0〜6計7段階に分類され、一般的には2段階以上で「陽性」と判断されます。
ただし、数値が高くても症状が出ない場合や、数値が低くても症状が出る場合もあるため、検査結果だけで判断せずに、実際の症状や食事内容とあわせて総合的に評価することが重要です。
アレルゲンを避けながら栄養バランスを整える工夫
食物アレルギーに対応した食事では、原因食品を避けることで食べられるものが限られてしまい、栄養バランスが偏ってしまうこともあります。
例えば、乳製品や卵を控えることでカルシウムやたんぱく質、ビタミンが不足しやすくなったり、小麦を控えることで主食量が減り、エネルギー不足につながることもあります。
このような状態が続くと、体調や体力に影響することもあるため、不足しやすい栄養素は他の食品から意識して補うことが大切です。
食物アレルギーに対応した食事は「制限が多い」と捉えられがちですが、食品の選び方や組み合わせによっては、食事の幅を広げることも可能です。
当院では、管理栄養士が一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせて、無理なく続けられる食事の工夫をご提案します。
「どのように食事を整えればよいか分からない」「自己判断での食材選びに不安がある」といった場合も、お気軽にご相談ください。検査結果やライフスタイルを考慮しながら、安心して続けられる楽しい食生活を一緒に考えます。
サルスクリニックにはいつも管理栄養士がいます
サルスクリニックには、医師や看護師だけでなく、管理栄養士が常駐しています。
食事や栄養についてお悩みのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
みなさまが健康で充実した生活を送れるようサポートいたします。
参考文献
- 消費者庁. “食物アレルギー表示に関する情報” . 消費者庁.
- 一般社団法人日本アレルギー学会.『食物アレルギー診療ガイドライン2021』協和企画, 2021.
- 厚生労働省. “食物アレルギー” . 健康日本21アクション支援システム Webサイト .