高血圧の薬をやめるとどうなる?
高血圧の薬(降圧剤)は高い血圧を下げるための薬であり、高血圧そのものを完治させる薬ではありません。生活習慣や原因が解除されない場合、服用をやめることにより半年程度でまた血圧が高い状態に戻ってしまうリスクもあります。
高血圧の種類や状態によっては、血圧が下がったら飲むのをやめる、上がったらまた飲む、といったように不規則な服用を続けると、脳卒中や心疾患を発症するリスクも高まるといわれています。また、高血圧の薬の一種であるβ遮断薬は、突然やめると狭心症や高血圧発作などが起こる離脱症候群に陥ることもあるため注意が必要です。
そのほかに注意してほしいこととしては、高血圧の薬の目的は血圧を下げることだけではない場合もあるということです。尿蛋白にょうたんぱくの減少や臓器保護効果、心臓の負担を減らす目的などで処方されている場合もあります。そのため、自己判断で薬をやめたり減らしたりせず、必ず医師に確認するようにしましょう。
一方で、生活習慣の改善など血圧が高くなる原因が解除された場合、気づいたら血圧が下がりすぎている可能性もあります。普段から自宅で血圧を測定し、下がりすぎている・上がってきている場合などは医師に相談するようにしましょう。
生活習慣の改善で薬を減らせる可能性もある
高血圧の薬は、食事、運動、禁煙、減量、睡眠などの生活習慣の改善によって、将来的に減らしたり、飲むことをやめられたりする可能性があります。
医師と相談しながら、自分に合った食事療法や運動療法を行っていきましょう。
食事療法
高血圧治療における食事のポイントは、減塩、適切なカロリー摂取量を守る、栄養バランスを整える、アルコール制限などです。食塩の1日摂取量は2g程度を心がけ、多くても7g以下にする必要があります。
食塩相当量の目安
- 食塩小さじ1杯:5g
- 食パン1枚(65g):0.8g
- みそ汁1杯:2.3g
- スパゲッティ(ミートソース):5.2g
加工食品の場合はパッケージに“食塩相当量”や“ナトリウム*”の記載があるので参考にしましょう。
また、肥満予防のために適切なカロリー摂取量を守ることも大切です。これは標準体重と1日の活動量から算出することができ、たとえば、身長165cmでデスクワークが多い方は、1,500kcal~1,800kcal/日が目安となります。
そのほか、脂質を抑えた野菜中心の食事や、ビタミン・ミネラルの積極的な摂取を心がけ、医師と相談のうえで多量の飲酒も控えるようにしましょう。
*ナトリウム:食塩として摂取されるミネラルの一種
ナトリウムを食塩相当量に換算する計算式:ナトリウム(mg)×2.54÷1,000=食塩相当量(g)
運動療法
運動をすると血圧が下がるだけでなく、肥満、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病の改善につながるといわれています。運動は週に3回以上を目安に行い、消費カロリーの合計が1,000~1,500kcalになるようにするとよいでしょう。1回の運動量の目安は、ウォーキング、体操、サイクリングなら1時間、水泳やジョギングなら30分程度です。
ただし、重症の高血圧の方や、心臓や腎臓の病気を合併している方など、運動に注意が必要な方もいます。そのため、運動療法を行う際は必ず医師に相談してからにしましょう。
高血圧の薬の服用は医師の指示にしたがって
高血圧の薬は処方されたとおりに飲みましょう。血圧が下がったからといって自己判断でやめてしまうと、また高血圧の状態に戻る可能性が高いです。日によって飲まなかったり、量を変えたりすると、脳卒中や心疾患につながることもあります。そのため、すでに薬を中断している場合も、治療再開のためにまずは受診をご検討ください。
また、食事療法や運動療法を行う前提で薬が処方されるため、薬だけに頼らず、生活習慣にも注意しましょう。ただし、運動を止められているような場合は医師の指示にしたがってください。そのほか、高血圧の薬は副作用として空咳、喉の違和感、動悸、ほてりなどが起こることがあるため、気になる症状がある場合は薬を飲むのをやめて、すぐに医師に相談しましょう。
サルスクリニックでは在籍する医師や管理栄養士が食事療法などに関してもアドバイスを行っており、高血圧であっても楽しく生きられるようサポートしています。予約も決済もスマートフォンで可能なので、気軽に受診を検討していただければと思います。