腹膜透析とは?
腹膜透析とは、お腹にカテーテルと呼ばれる医療用の管を挿入して、自分や家族、または訪問看護師や在宅医などの助けを得ながら透析液を出し入れすることにより、血液中の老廃物や余分な水分を除去する方法です。
血液透析のように1日おきの通院は必要なく、特別な問題がなければ月1~2回に通院の回数を抑えられます。
透析を始めるタイミングとは?
慢性腎臓病では、「気持ちが悪い」「むくみがある」などの症状や、血液中のカリウムが過剰になる高カリウム血症、心臓が全身にうまく血液を送り出せなくなる心不全といった合併症が起こる場合があります。これらの症状や合併症が薬や食事療法といった治療で対処できなくなった場合、透析の導入を考えることになります。
また、徐々に進行する慢性腎臓病ではこのような症状が出ない場合も多くあります。そのため、血液検査の結果、腎臓の機能の状況によっては、生命を維持するために透析の導入、もしくは腎移植を考えることになります。
それ以外にも、栄養状態や年齢、腎臓病の原因疾患などを総合的に判断して透析を始めることを検討します。
腹膜透析のメリット
腹膜透析には血液透析と比べて、次のようなメリットがあります。
通院回数を減らせる
週3回(1日おき)の通院が必要な血液透析に比べ、通院が月1~2回で済みます。透析液を交換したり、カテーテル出口部周囲の消毒などの皮膚ケアが必要となりますが、交換時間は自分の生活スタイルに合わせて設定できるので、仕事の予定に合わせたり出かけたりするなど、自由に過ごせる時間を作りやすくなります。
体への負担が少ない
1日おきに行う血液透析では透析前後の尿毒素や水分の差が激しく体に負担がかかりやすい(血圧の変動や透析中の頭痛や吐き気などの症状が出る)とされています。しかし、腹膜透析は毎日細かい間隔で残存腎機能を生かしながら緩やかに透析を行うため、心臓などの循環器系への負担が少なくて済みます。また、残っている腎臓の機能を長持ちさせやすい方法ともいわれています。
水分やカリウムの制限が緩やか
血液透析では水分や塩分、カリウムのコントロール(制限)が必要です。一方、腹膜透析ではカリウムが持続的に透析液へ除去されることで体内から排出されるため、カリウム制限が緩やかになります。
残っている腎臓のはたらきを長持ちさせやすい
腹膜透析は血液透析に比べて透析時の除水が穏やかであることから、残った腎臓機能(残腎機能)を維持しやすいと考えられています。
腹膜透析にはデメリットもある
腹膜透析を続けられる期間には限りがあります。腹膜透析を続けることが難しくなった場合、腎臓移植や血液透析などの別の治療に移行する必要があります。
また、腹膜透析を行っている方に起こる合併症として、カテーテル位置異常やカテーテル閉塞、カテーテル出口部感染、皮下トンネル感染、腹膜炎、腰痛(腰椎ヘルニア)、横隔膜交通症などが挙げられます。さらに不適切な腹膜透析を長期間にわたって行っていた患者さんは、まれに被嚢性腹膜硬化症(腹膜が厚く固くなり、腸の動きが悪くなる病気)を引き起こすこともあります。
腹膜透析を導入するときは、医師と相談してメリットとデメリットをよく把握したうえで、ライフスタイルや体の状態、生活状況に合わせた方法を考えていきましょう。
透析を検討する際は腹膜透析も選択肢の1つに
腹膜透析は国内ではまだあまり普及していないものの、多くのメリットがある透析方法です。透析導入を考えなければならない時期が来たら、血液透析だけを考えるのではなく、腹膜透析も選択肢の1つとして検討することがすすめられます。
日本橋、武蔵境、有明にあるサルスクリニックは、駅近の通いやすい立地とカフェのような院内でくつろいで受診いただけます。腹膜透析の導入をはじめ、透析に関するさまざまなサポートも行っています。また、各種検査や健診も行っていますので、透析が必要になるまで病気を悪化させないという予防の観点でもアドバイスが可能です。
サルスクリニックでは、たとえ病気であっても患者さんがその人らしく生活できるようにサポートします。ご自身に合った透析療法についてのご相談などをご希望でしたら、ぜひ一度ご相談ください。
※サルスクリニックの健康診断について、詳しくはこちらをご覧ください。