中性脂肪とは? 〜低値でも高値でも健康に関わる指標〜

この記事のポイント

  1. 中性脂肪のはたらきや基準値について
  2. 中性脂肪が高トリグリセライド血症やメタボリックシンドロームにつながること
  3. 食事で予防できること

中性脂肪は専門用語でトリグリセライドと呼ばれており、中性脂肪が血液に多い“高トリグリセライド血症”や“メタボリックシンドローム”の診断基準に用いられる指標です。高トリグリセライド血症もメタボリックシンドロームも動脈硬化や心臓病、脳卒中のリスクが高くなる病態です。

本記事では、中性脂肪の体内における役割や基準値、関わる病気や食事のアドバイスをお伝えします。

中性脂肪の役割

中性脂肪はヒトや動物にとって活動するためのエネルギー源となるため必要不可欠です。しかし、取り過ぎると内臓脂肪となり体内の腸間膜に蓄えられるといわれています。内臓脂肪は皮下脂肪に比べると合成や分解が頻繁に行われており、内臓脂肪が増えるとすぐに血中に脂質が放出されます。すると血中の脂質が増加し、結果として中性脂肪が増えます。内臓脂肪が増えれば増えるほど血中に放出される脂質や中性脂肪が多くなり、基準値を超えると高トリグリセライド血症やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病につながります。また中性脂肪が低すぎてもエネルギーが不足している状態となり、疲れやすくなることや低体温、手足の冷えにつながるともいわれています。

中性脂肪の基準値

中性脂肪の基準値は30〜149mg/dLです。

150mg/dL以上の場合は高トリグリセライド血症と診断されます。

※高トリグリセライド血症はメタボリックシンドロームの診断基準の1つでも使用されています。

中性脂肪が高いときに疑われる病気

高トリグリセライド血症(脂質異常症)

脂質異常症とは血中の脂質の値が異常値になっている状態のことをいい、特に中性脂肪が高い場合を高トリグリセライド血症といいます。中性脂肪が高くなる原因としては、糖質(甘いものや酒、砂糖の入ったソフトドリンクなど)や脂質(揚げもの、脂っこいものなど)といったエネルギー源となるものの取り過ぎだと考えられています。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームはウエスト周囲径が男性85cm以上、女性90cm以上で、かつ脂質やほかの検査項目が2つ以上基準値から外れたときに診断される病気です。原因としては、たまった内臓脂肪や脂肪細胞から放出されるアディポサイトカインと呼ばれる物質の分泌異常などがあります。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症とは、体の新陳代謝を促す“甲状腺ホルモン”の作用が低下することをいいます。無気力や疲れやすさ、むくみ、体重増加などさまざまな症状が現れるほか、中性脂肪が上昇することもあります。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは尿にタンパクが多く排出されることにより、血液中のタンパクが減少し、むくみなどの症状が現れる病気です。ネフローゼ症候群では脂質異常を生じやすく、中性脂肪が高くなることもあります。

膵炎

膵炎すいえんとはアルコールの飲みすぎや胆石が生じることなどによって、膵臓すいぞうが炎症を起こすことをいいます。急性膵炎では膵臓が突然炎症を起こし、強い腹痛などがみられます。一方、慢性膵炎では膵臓に持続的に炎症が起こり、お腹の痛みや体のだるさなどの症状が現れます。

中性脂肪が高くなると、膵炎が生じる可能性があります。

中性脂肪を下げるための食事

中性脂肪が高値の要因として、主に糖質や酒・甘いものなどのエネルギー源の取りすぎとも考えられています。間食をされている方は間食をなくすことをおすすめします。間食で食べがちなお菓子やパンには糖質が多く含まれているためです。間食を最終的にゼロにするために、できるところから始めましょう。

n-3系脂肪酸は血中のトリグリセライドを低下させるといわれています。n-3系脂肪酸が多いのは背の青い魚といわれているため、ブリの照り焼きやマグロなどを主食に主菜、副菜も取れる食事を選びましょう。

中性脂肪が気になる方はクリニックへ

中性脂肪は低いと低栄養状態に、高いと脂質異常症の1つである高トリグリセライド血症やメタボリックシンドロームにつながります。後者の原因は糖質の多い食生活であることが分かっているので、間食・アルコールの取り過ぎや、過剰な炭水化物の食事を控えるようにしましょう。もし検査値が基準値を超えている場合や、基準値内でも不安な場合などはかかりつけの医院かクリニックにご相談ください。体脂肪、筋肉量などを調べることで体の状態を把握することが可能です。

ご自宅で生活習慣病を予防するためにも、自分の体組成を知り改善につなげることは重要です。必要な場合には食事や運動などのアドバイスも行っていますので、これから予防していきたい方や中性脂肪値が気になる方はご相談ください。

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