最近よく聞く「フレイル」ってなに?~種類ごとの特徴と簡単セルフチェック~

この記事のポイント

  1. フレイルは「健康」と「要介護」の間の段階で、早期発見・早期対策で健康な状態に戻れる可能性がある
  2. フレイルには「身体的」「精神・心理的」「社会的」の3つの側面があり、それぞれが影響し合う
  3. フレイル予防のポイントは「栄養」「運動」「社会参加」

医療の進歩や生活環境の変化によって私たちの寿命は延び、「人生100年時代」といわれるようになりました。しかし、平均寿命と健康寿命の間には、約10年もの差があることはご存知ですか?

平均寿命とは「0歳における平均余命」のことで、2022年(令和4年)では、男性が81.05歳、女性が87.09歳です。一方、健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことを指し、2022年(令和4年)では男性が72.57歳、女性が75.45歳となっています。

つまり、平均寿命から健康寿命を除いた約10年間は、言い換えれば「支援や介助が必要な期間」であり、生活の自由度が大きく制限される可能性があります。せっかく長生きするなら、自由な生活ができる元気な期間(健康寿命)を、少しでも長く充実させたいですよね。しかし、健康寿命を脅かし、誰かの助けが必要な要介護状態へとつながるリスクを上げてしまうのが、これからご紹介する「フレイル」という状態です。こちらのコラムでは、フレイルとは何か、今からできる対策などについても解説します。

フレイルとは?

「最近、歩くのが少し億劫になった」「食欲が落ちてきた」「外に出るのが面倒に感じる」…そんな変化を感じたら、それはフレイルのサインかもしれません。

フレイルとは、加齢に伴って心身の活力が少しずつ低下し、「健康」と「要介護」の中間にあたる状態を指します。フレイルの語源となった「frailty(フレイルティ)」は、医学的には「虚弱」と訳されますが、老化そのものを意味するわけではありません。フレイルは、早めに気づいて生活や心身の状態を整えれば、以前の健康な状態まで回復する可能性があります。

しかし、フレイルに気づいても対策をせず放置すると、転倒や入院・認知機能の低下・要介護状態へと進行することもあります。高齢化が進む現代において、フレイルは誰にでも起こる可能性があるのです。だからこそ、日常で感じる小さな変化を「年齢のせい」と片づけず、早い段階で気づいて対策を始めることが大切です。

フレイルが起きる原因

フレイルは、体の衰えだけでなく、食事・運動・人との関わりなど、さまざまな要因が重なって起こります。例えば、食が細くなることでたんぱく質やエネルギーの摂取量が減ると、筋肉量も低下します。筋肉量が低下すると、外出の機会が減り、さらに体力や社会とのつながりを失う…という悪循環に陥ることも少なくありません。つまり、フレイルは「栄養」「運動」「社会参加」の3つのバランスが崩れたときに起きやすいといえます。どれかひとつでも不足していると、他の要素にも影響してしまうのです。

簡単にできる!フレイルのセルフチェック方法

自分がフレイルになっているかどうかは、簡単なセルフチェックで確認できます。以下のチェックリストを参考に、オレンジ色の回答がある方は、すべての項目が水色の回答になるよう改善し、定期的にチェックするのがおすすめです。

痩せてきたら要注意!フレイルチェック – BMI編 –

高齢期の痩せは肥満よりも死亡率が高いことが知られています。病気ではないのに65歳を過ぎてから痩せてきた場合は要注意です。生活習慣を「メタボ予防」から「フレイル予防」に切り替えるタイミングかもしれません。身長と体重をもとに、以下の表より自分のBMIを確認してみましょう。

フレイルの種類

フレイルは主に、以下の3つの側面から考えられます。

身体的フレイル

体の筋力や持久力が低下し、転びやすくなったり、歩く速度が遅くなったりする状態です。原因の多くは加齢による筋肉量の減少である「サルコペニア」が大きく関係しています。また、たんぱく質の摂取不足や活動量の低下が影響します。予防には「毎食たんぱく質を摂る」「バランスの良い食事を意識する」「無理のない運動を継続する」が基本となります。

精神・心理的フレイル

気分の落ち込み・意欲の低下・軽度の認知機能の変化などがみられる状態です。孤独・ストレス・睡眠不足・栄養の偏りなどが関係しています。食生活は、ビタミンB群やトリプトファンなどの栄養素を含んだ野菜やくだものを摂るよう意識すると良いでしょう。また、社会活動や趣味などを通じてさまざまな人と会話をして、心に刺激を与えることも大切です。

社会的フレイル

地域や友人とのつながりが少なくなり、外出の機会が減るなど、社会的に孤立している状態を指します。人と関わる機会が減ると、食事内容や生活リズムが乱れやすくなり、身体的フレイルや精神・心理的フレイルにも影響を及ぼします。「週に1回は誰かと会話する」「地域活動や趣味の場に参加する」など、周囲とのつながりを持ち続けることが予防の第一歩です。

これら3つのフレイルは、どれか1つでも起きてしまうと、連鎖的に進行し、悪循環に陥ることもあります。まずはできることから改善し、どのフレイルにもならないよう気をつけて過ごしていきましょう。

フレイル予防についてはこちらの記事でも詳しくご紹介しています。

気付いたときが始めどき!フレイル対策の3つのポイント

フレイル対策のポイントは「栄養」「運動」「社会参加」の3つです。例えば、人との関わりで外出することが億劫になると、活動量が減り、筋力量の低下につながります。さらに、活動量が減ることで空腹感を感じづらくなり、食欲が低下して低栄養状態になることもあります。このような悪循環を防ぐことが、フレイル予防の第一歩です。大切なことは、早めに気づいて適切な対策をすること。そうすることで、フレイルの進行を防ぎ、健康な状態に戻すことができます。

サルスクリニックには管理栄養士がいます

フレイル予防において、「栄養」はとても大切な柱です。フレイル予防のために特に意識したい栄養素は、たんぱく質・エネルギー・ビタミン・ミネラルです。さらに、年齢を重ねると別の疾患による食事の調整が必要な場合もあり、予防に必要な栄養素を摂るのが難しいこともあります。「食が細い」「1日2食になってしまう」「調理が面倒」という方は、個人に合わせたアドバイスが有効ですので、お気軽にご相談ください。補食(間食)を上手に活用する方法や、手軽に栄養をとれる食品選びなどについて、食・健康のプロフェッショナルである私たち管理栄養士がサポートします。
年齢を重ねても自分らしく健やかに暮らすために、まずは「食べること」から整えていきませんか。

当院では、食生活だけでなく、ライフスタイルやご職業などの背景を踏まえ、実行できる治療法を患者さんと共に考え、その継続をサポートします。お気軽にご相談ください。

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【参考文献】