「寝不足は太る」って本当?睡眠と体内時計の深い関係とは~ホルモンバランスを整えて痩せ体質に~

この記事のポイント

  1. 睡眠不足によりホルモンバランスが乱れ、食欲増加・抑制機能が弱まり太りやすくなる
  2. 夜遅くの食事が太りやすいと言われている理由には、脂肪の合成を促すたんぱく質「BMAL1(ビーマルワン)」の分泌リズムも影響している
  3. 朝食でトリプトファンを摂取、朝日を浴びて睡眠ホルモンに変化させ夜の快眠準備を
  4. 夕食は寝る3時間前までに取り、胃腸を休めて深部体温を下げることでスムーズな入眠を促進する

「ダイエットを頑張っているのに結果が出ない」「ついつい夜食を食べてしまう」……。その原因のひとつは、「睡眠不足」にあるかもしれません。「睡眠」と「食欲」、そして「体内時計」は互いに深く関わっています。本コラムでは、睡眠不足が肥満を招く理由や、代謝を上げるための食習慣などについて詳しく解説します。

睡眠不足が「太りやすい体」をつくる理由

多くの研究により、睡眠時間が短い人は、十分な睡眠をとっている人に比べて肥満になるリスクが高いことが示されています。これには、私たちの食欲をコントロールする2つのホルモンが深く関わっています。

食欲を高めるホルモン「グレリン」

睡眠不足になるとグレリンの分泌が増え、食欲を増進させます。海外の研究によると、睡眠不足によって食欲が約25%増幅し、特にケーキやアイスなどの甘い物、ポテトチップスなどの塩辛いもの、パンやパスタといった高炭水化物・高カロリーな食品を強く欲しやすくなるという報告もあります。

食欲を抑えるホルモン「レプチン」

睡眠不足になるとレプチンの分泌が減り、「お腹がいっぱい」という信号が脳に届きにくくなります。睡眠不足とホルモンの関係を調べた有名な研究では、5時間睡眠の人は8時間睡眠の人に比べ、食欲を高める「グレリン」が約14.9%増加し、食欲を抑える「レプチン」が約15.5%減少していることが分かりました。このように、ホルモンバランスが崩れた結果、睡眠時間が不足した翌日は、無意識のうちに1日あたり約350〜500kcal(平均約385kcal)もの余計なエネルギーを摂取してしまうというデータも出ています。これは、6枚切食パンであれば約2〜3枚分、ごはんであればお茶碗1.5〜2杯分に相当するエネルギー量です。

つまり、「寝不足になるとつい食べてしまう」のは、意志の弱さが原因なのではなく、脳とホルモンバランスが引き起こす生理現象なのです。

体内時計と「BMAL1(ビーマルワン)」の働き

私たちの体には、脂肪の合成を促す「BMAL1(ビーマルワン)」というたんぱく質が存在します。このBMAL1の分泌量は、1日の中で大きく変動します。

  • 14時~16時: 最も分泌が少なくなる時間帯
  • 22時~深夜2時: 分泌がピークになり最も脂肪を蓄えやすい時間帯

「夜遅く食べると太る」というのは、単に消費エネルギーの問題だけでなく、このBMAL1の分泌リズムによる影響が大きいです。

睡眠不足が引き起こす生活習慣病のリスクについてはこちらの記事でもご紹介しています。

管理栄養士が推奨する「体内時計を整える食事術」

体内時計を整えて睡眠の質を上げるためには、以下を意識してみましょう。

朝食でたんぱく質を摂る

睡眠ホルモン「メラトニン」の材料となるアミノ酸の一種、「トリプトファン」を摂取しましょう。トリプトファンはたんぱく質を構成する必須アミノ酸のひとつであるため、たんぱく質を含む食品(大豆製品・魚類・肉類・卵類・乳製品など)から摂取するのがおすすめです。トリプトファンを摂取してからメラトニンに変わるまで15時間ほどかかるため、朝摂ることで夜の快眠に繋がります。

しかし、実は大きな落とし穴もあります。「朝食は食べているけれど、カーテンを閉め切った薄暗い部屋で過ごしている」という状態では、せっかく摂ったトリプトファンが活きません。摂取したトリプトファンを睡眠ホルモン「メラトニン」に変えるには、朝起きてすぐに太陽の光を浴び、脳のスイッチを入れる必要があります。暗い部屋のままだと、脳が「まだ夜だ」と勘違いをするため、材料(トリプトファン)があっても上手に加工(メラトニンへの変化)が進みません。「朝起きたらまずカーテンを開けて光を浴びる」、そして「たんぱく質が豊富な朝食を摂る」。この2つがセットになって初めて、夜ぐっすり眠るための準備が完了するのです。

夕食は就寝3時間前までに

質の高い睡眠をとるためには、体の中心部の温度「深部体温」をスムーズに下げることが必要不可欠です。私たちの体は、日中は深部体温を高く保って活動し、夜間は体温をグッと下げることで脳と内臓を休息モードへ切り替え、スムーズな入眠を促す仕組みになっています。例えば、赤ちゃんが眠くなったときに手足がポカポカと温かくなるのは、手足の血管から熱を逃がして(熱放散)、深部体温を下げようとしているからです。つまり、寝る直前に食事をとると、消化活動をするため深部体温が下がりにくくなり、睡眠の質を著しく低下させてしまうのです。

「良い睡眠」は最強の美容・健康法です

質の高い睡眠がとれるようになると、成長ホルモンの分泌が活性化され、脂肪燃焼や肌のターンオーバーが促進されます。食事制限だけに頼るのではなく、体内時計に合わせた生活リズムを整えることが、リバウンドしない健康的なダイエットへの近道です。

小さなことからはじめよう

いかがでしたか?
「睡眠不足」や「体内時計の乱れ」が、知らず知らずのうちに「太りやすい体を作ってしまう」ということに驚かれた方もいるのではないでしょうか。

「痩せ体質」を作るための推奨睡眠時間は7時間程度です。
まずは明日の朝、カーテンを開けて太陽の光を浴びることから始めてみませんか?
「早く寝ること」も「朝食を食べること」も、立派なダイエットであり、大切な健康法のひとつです。できることから少しずつ取り組み、心地よい睡眠と健やかな体を目指していきましょう。

もし、「生活習慣を整えてもよく眠れない」「食事の栄養バランスが分からない」「なかなか痩せない」といったお悩みがあれば、一人で抱え込まずに当院へお気軽にご相談ください。栄養・健康のプロフェッショナルである管理栄養士が、あなたの健康的な毎日をしっかりとサポートいたします。

サルスクリニックにはいつも管理栄養士がいます

サルスクリニックには医師や看護師だけでなく、管理栄養士が常駐しています。
ライフスタイルやご職業などの背景を踏まえて無理なく実行できる内容を共に考え、その継続をサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。

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参考文献