筋肉の衰えは老化だけじゃない!それ、◯◯◯のサインかも?~ サルコペニアとロコモを防ぐために~

この記事のポイント

  1. サルコペニアとロコモは、筋肉・骨・関節の衰えによる身体機能低下のサイン
  2. セルフチェックで現状を知り、運動と食事を組み合わせて改善することで予防につながる
  3. 予防には「ながら筋トレ」や「バランスのよい食事」を日常生活に上手に取り入れて、無理なく継続することが大切

年齢を重ねると「最近つまずきやすくなった」「階段を上るのがつらい」と感じる方もいらっしゃるかと思います。

このようなからだの変化を感じていても「歳のせいだから」と自己解決していませんか?

実は、その変化は単なる老化ではなく、筋肉量の減少や筋力の低下、関節の動きの衰えである「サルコペニア」と「ロコモティブシンドローム」(※以下:ロコモ)のサインかもしれません。

どちらも健康寿命を左右する重要なキーワードであり、早めの対策が今後の生活の質(QOL)やライフスタイルを守るポイントになります。本コラムでは、サルコペニアやロコモについて、簡単なセルフチェック方法などもご紹介します。

サルコペニアとは

サルコペニアとは、加齢や疾患、栄養不足などによって、筋肉量や筋力が低下する状態のことを指します。筋肉は体を動かすだけでなく、姿勢や代謝、体温の維持などにも関わる重要な組織です。そのため、筋肉量が減ると、歩行速度の低下や立ち上がりづらさの増加、転倒・骨折リスクが高まる可能性があります。さらに、筋肉はたんぱく質の貯蔵庫としての役割もあるため、病気のときに回復が遅くなるなど、全身の健康に影響を及ぼすこともあります。

ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは

ロコモとは、骨・関節・神経・筋肉といった運動器の機能が低下し、将来的に要介護となるリスクが高い状態を指します。日本整形外科学会が提唱した概念であり、骨粗鬆症や変形性関節症、サルコペニアなどが重なって進行することもあります。

サルコペニアは「筋肉の減少」に、ロコモは「運動機能全体の低下」に、それぞれ焦点を当てています。そのため、サルコペニアが進むと歩行や立位の能力が低下し、結果としてロコモにつながることもあります。つまり、サルコペニアはロコモの入り口ともいえるのです。

セルフチェックで現状を知ろう

現代では便利な移動手段が増え、日常生活に支障がないと感じていても、気づかぬうちにサルコペニアやロコモになっていたり、すでに進行している場合もあります。筋肉が減少するサルコペニアかどうかは、次の簡単なセルフチェックで確認することができます。

このセルフチェックでサルコペニアのリスクが見つかっても落ち込む必要はありません。
今から対策に取り組むことで、進行を防ぐことができます。

予防のカギは栄養と運動

サルコペニアやロコモの予防は、栄養改善だけでも、運動改善だけでも不十分です。両方を組み合わせて取り組むことが、筋肉量を維持し、運動機能を保つための大切なポイントです。

栄養のポイント

筋肉づくりには材料であるたんぱく質と、代謝を助けるビタミンD・ビタミンC、さらに骨を支えるミネラルであるカルシウムなどの栄養素が欠かせません。

  • たんぱく質は毎食摂ることが鍵となる

たんぱく質は、筋肉の材料となる重要な栄養素です。筋肉は毎日、分解と合成を繰り返しているため、1食ごとにたんぱく質を補給しないと減少してしまう可能性があります。毎食、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を取り入れるようにしましょう。目標は、1日に「適正体重1kg当たり1.0g以上」のたんぱく質を摂取することです。例えば体重60kgの人なら、1日60g以上のたんぱく質が摂取の目標量です。食が細くなってきた方は、無理に1食でまとめて摂ろうとはせずに、朝・昼・夕食に分けて少しずつ摂る方法がおすすめです。朝は卵やヨーグルト、昼は魚や豆腐、夜は肉料理など、さまざまな食材から摂れると理想的です。忙しい日や体調が優れないときのために、ツナ缶・サバ缶・豆腐・プロテイン飲料など、手軽に使えるものを常備しておくと安心です。食形態に合わせた介護食品も上手に使えば、たんぱく質補給の強い味方になります。

  • ビタミンD

筋肉の合成を助け、骨を丈夫にするサポートをしてくれる栄養素で、鮭、サンマ、きのこ類に多く含まれています。また、食事以外でも、晴れた日に15分ほど日光を浴びることでビタミンDを合成することができます。

  • ビタミンCや鉄

筋肉や腱、関節を強く保つ働きがあり、それらを支えるコラーゲンの生成にも関わっています。さらに、貧血予防や筋肉への酸素供給に関与する栄養素でもあります。ビタミンCは、パプリカやブロッコリーなどの野菜やキウイフルーツ・いちご・みかんなどのくだものに多く含まれ、鉄を多く含む赤身肉やカツオ・あさりなどと組み合わせて摂取すると、鉄の吸収率が上がります。

  • カルシウム

骨や歯を構成するだけでなく、筋肉の収縮にも不可欠な栄養素です。牛乳・チーズ・小魚から摂ることができます。

フレイルに負けない食事のポイントについてはこちらの記事でもご紹介しています。

運動のポイント

筋肉は使わないと徐々に減少し、特に40歳以降で急激に減少すると言われています。なかでも、太ももやお腹まわりの筋肉は加齢の影響を受けやすいため、日常生活で意識的に動かすことが大切です。

【おすすめの運動】

いずれの運動も、無理のない範囲で継続することが大切です。自分自身にあった運動を選び、家族や友人と一緒に取り組むと、楽しみながら継続しやすくなります。

  • 筋力トレーニング

椅子を支えにしたスクワットやかかとの上げ下げ運動などがおすすめです。
1日10分程度、週2〜3回からでもOKです。

  • 有酸素運動

ウォーキングや水中ウォーキング、自転車漕ぎなどを、息が弾む程度の強さで20〜30分おこなうのがおすすめです。

  • バランス運動

片足立ちやストレッチは、転倒予防に有効です。
これらの運動を、他の動作をしながらおこなう「ながら運動」もおすすめです。

例えば、「歯みがきをしながらスクワットをする」「テレビを見ながら足踏みをする」など、生活の中に取り入れると続けやすくなります。

ライフスタイル、日常でできること

筋肉を守るには、運動や食事だけでなく、毎日の生活リズムやライフスタイルを整えることも重要です。以下のポイントを、できる範囲で少しずつ、長く続けることを意識して取り入れましょう。過度な運動や極端な食事制限は逆効果です。無理なく継続することが重要です。

  • 1駅分歩く、階段を使うなど、こまめに体を動かす生活を心がける。
  • 朝食を抜かず、朝にたんぱく質を摂る。
  • 水分をしっかり摂り、脱水を防ぐ。・睡眠を6~7時間確保し、身体の回復を促す。
  • 定期的に体重をチェックして、変化を知る。

サルスクリニックには管理栄養士がいます

筋肉や骨の衰えは、年齢のせいだけではありません。食生活や運動習慣を見直すことで、サルコペニアやロコモは十分に予防できます。10分間ほどの運動や1回の食事から生活を見直すことで、10年後の自分を支えます。しかし、自己流では限界があったり、個人に合う適切な栄養量がわからなかったりすることもあるでしょう。サルスクリニックでは、診察や栄養相談を通して、今の健康状態や食習慣を把握し、個別のアドバイスをおこなっています。「最近、足腰が弱くなった気がする」「食が細くなった」と感じたら、早めの対策が大切です。ぜひお気軽にご相談ください。

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【参考文献】