花粉症の方必見!花粉症の根本治療~基礎知識編~

この記事のポイント

  1. 国民の4割以上が花粉症!?
  2. 許容できる花粉の量は人それぞれ。許容量を超えると花粉症に!
  3. 花粉症の症状をぐっと軽くしたいなら、「舌下免疫療法」がおすすめ

年々患者数が増加している花粉症ですが、実はピークの時期以外に効果が得られる治療法が存在します。今回は、花粉症の基本に立ち返りながら、花粉症の根本治療について解説いたします。

花粉症は春に多い?なぜスギが多いの?

花粉症とは、特定の花粉に反応してくしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみなどの症状が引き起こされる状態のことです。花粉症は春に起こるイメージがあるかもしれませんが、春だけではありません。たとえば夏から秋にかけては、イネ・ブタクサ・ヨモギなどの花粉によってアレルギー反応が起こる方もいらっしゃいます。それでも「花粉症は春」というイメージが広く持たれているのは、日本の植物の中で最も多くの人にアレルギー症状を発症させているスギ花粉が春頃に飛散するからです。

近年はスギを新たに植林することはほとんどなくなりましたが、戦後日本では木材資源を確保するため、成長の早いスギが大量に植えられました。しかし、国産木材の利用が低迷したことで長年伐採されず、樹齢が高いスギの割合が増えました。樹齢30年以上の木は花粉を多く飛散させるため、スギ花粉の量は大幅に増加しています。そのためか花粉症の患者さんのうち約70%は春に飛散するスギ花粉が原因となっています。「花粉症は春」というイメージは、スギ花粉症患者の数が大変多いためでしょう。

有病率はどれくらい?世代ごとの違いはなぜ?

2019年の時点で国民の42.5%が花粉症、その内スギ花粉症は38.8%というデータがあります。4割を超える国民が花粉症で、その大半はスギ花粉がアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)であるということになります。

花粉症は花粉に触れたらすぐに発症するというものではなく、通常数年間花粉に曝された後に発症します。そのため、戦後大量に植えられたスギが花粉を飛ばし始めたと言われている1970年後半に生まれた人は、それ以前に生まれた人よりもスギ花粉の曝露量(さらされる量)が多くなっていることが花粉症罹患率増加の一つの要因と考えられています。年々樹齢の高いスギが増えていることもあり、時代とともに発症率は高くなっているのです。

『鼻アレルギーの全国疫学調査2019』で言及されている、東京都限定で10年に1回スギ花粉症の有病率を調査した結果によると、

1986年……10%

1996年 ……19.4%

2006年……28.2%

2016年……45.6%

と、大幅な増加傾向が示されました。

発症するまで

細菌やウイルスなどの抗原(身体の中に侵入する異物)が入ってくると、それを攻撃してやっつけるための「抗体」ができます。抗体は、各抗原にぴったり合うように作られており、次にまた同じ抗原が侵入してきた際に、過去に作られた抗体が素早く対処することで身体を守ります。この、病原体から身体を守るためのしくみを「免疫」といいます。

しかし、アレルギー体質の方は、本来身体に害のない花粉などに対しても免疫の機能が稼働してしまいます。ただし花粉を吸い込んだらすぐに発症するわけではありません。ある一定量の花粉が身体に蓄積すると、抗原(花粉)を追い出すための免疫反応として、鼻水やくしゃみ、鼻詰まりなどの症状が現れます。この「一定量」が人それぞれであるため、幼少期に発症する人もいれば成人後に花粉症になる人もいるということです。

ちなみに小学生15,367人を対象とした2021年の調査では、花粉症発症率1.4%で、これまでの平均3%と比べて新規発症者が半分以下に減少していました。コロナ禍によるマスク生活やステイホームなどで花粉の曝露量が減ったことが一つの要因とも考えられます。

花粉症って、治るの?

残念ながら現在の医学において「完治」は難しいと言われています。免疫反応を抑えるための飲み薬や鼻スプレー(点鼻薬)などの使用、鼻うがいや花粉防御マスクやメガネの着用といった環境療法など、さまざまな対処法はありますが、いわゆる対症療法(原因を取り除くことはできないが、一時的に症状を緩和させる方法)にすぎません。

「完治する」とまでは言えませんが、アレルギーそのものの治療となりうる「舌下免疫療法」をご存知でしょうか?花粉症をはじめとするアレルギー反応は免疫の暴走によって起こります。免疫療法は、根本的な原因である「免疫」そのものにアプローチすることでアレルギー症状を抑えるものです。スギ花粉症であれば、抗原となるスギ花粉を少量ずつ毎日体内に取り込みます。そうすることで身体を抗原に慣れさせ、スギ花粉が多く飛散する時期になっても免疫が過剰反応しないようコントロールしていきます。免疫療法自体は以前から行われていましたが、週に数回受診し注射で抗原を取り込む方法しかありませんでした。しかし、2014年に使われ始めた舌下免疫療法は、錠剤を毎日舌の下に置いて溶かしていくだけという手軽さで、2018年には保険適用となったため、徐々に使用が広まってきています。数年にわたっての治療が必要ですが、内服薬が減らせたり中止できることもあり、重度のスギ花粉症の方には特におすすめの治療法です。スギ花粉のオフシーズンである6月~11月に治療を開始することができます。

舌下免疫療法について詳しくはこちら

※現在、スギ花粉症用の舌下免疫療法の新規導入時に使用する「シダキュア開始薬(2000JAU)」の出荷調整がかかっており、在庫に限りがございます。詳しくはこちらをご覧ください。

花粉症の治療

サルスクリニックでは花粉症の治療を実施しています。平日は最大21時まで開院しておりますので、お仕事帰りにもお立ち寄りいただけます。花粉症の諸症状にお困りの方はお気軽にご相談ください。

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