腹膜透析のメリット
腹膜透析は、血液透析に比べてメリットの多い治療法です。特に透析をしながら社会生活を維持したい、1日おきの通院が困難という方などに有効な方法といえます。
通院回数が少なく、社会復帰が容易
通院回数を月1~2回程度に減らすことができます。さらに、透析やバッグの交換自体は自宅以外でもできるので、社会復帰も難しくありません。あらかじめ透析液を配送しておくなどの工夫次第で、国内旅行や海外旅行も可能になります。
体への負担が少ない
毎日時間をかけて余分な水分や老廃物をゆっくり取り除くため、体への負担が少なくて済みます。
残腎機能が保たれやすい
透析導入後でも、残った腎臓のはたらきを長く保てます。血液透析では、透析を始めて数か月で腎臓の機能が落ちて尿の量が減ってしまう場合がありますが、腹膜透析では尿を通して水分や老廃物を排出できる期間を比較的長く維持できます。
血液透析に比べて食事制限が緩やか
塩分や水分は、血液透析の場合と同様に制限しなければなりませんが、カリウムについては制限が緩和されます。カリウムが多く含まれる野菜や果物、お刺身などを極端に我慢しなくて済むというメリットがあります。
腹膜透析のデメリット
ここまでは腹膜透析のメリットをご紹介してきましたが、デメリットも存在します。
透析液交換などの手技が必要である
腹膜透析は通院時間が少なくなる反面、自分で透析液を交換したり、カテーテルの出口部をケアしたりする必要があります。患者さんが高齢でそれらの管理が難しい場合などは、家族でサポートしたり、訪問看護師や在宅医などの在宅医療連携をうまく活用したりすることも有用です。
また、施設に入居している場合などは、施設内で腹膜透析が可能かどうかの確認が必要となります。
腹膜透析ができる期間には限りがある
腹膜透析ができる期間には限りがあります。ただし、適切な水分塩分管理、腹膜炎の予防を行えば10年以上腹膜透析を続けられる場合があることも分かってきています。
以前は酸性透析液という腹膜により負担のかかる透析液が主流だったこともあり、透析膜として使う腹膜の機能が低下することを理由に長期間の腹膜透析を続けることは困難とされていました。その後2000年代に入り、日本で中性透析液が広く使われるようになったことからも比較的残腎機能を保てるようになったとされます。
一方で、水分・塩分の管理が不十分だったり、腹膜炎を繰り返したりすることで腹膜の機能が低下した場合は、数年で血液透析に移行することもあります。また、残腎機能が低下したときには、週1~2回の血液透析を併用します。
お腹の張りや腰痛を感じることがある
1回の透析液交換で1,500~2,000mlの透析液をお腹に入れるため、お腹が張ったり、腰痛を感じたりすることがあります。時には、お腹の膨れによって食べられる食事の量が減ってしまったりすることがあります。
腹膜透析に対応する病院が少ない
腹膜透析を実施できる医療機関や医療スタッフは、血液透析の施設に比べて少ないとされています。これは日本における腹膜透析の普及率が低いことが原因の1つとも考えられます。
腹膜透析のメリットとデメリットを理解したうえで導入の検討を!
腹膜透析は社会復帰がしやすい、体への負担が少ないなどメリットの多い透析方法ではありますが、一方で透析液交換やカテーテルのケアが負担になる、対応できる医療機関が少ないなどデメリットもあります。腹膜透析を始める際には、このようなメリットとデメリットをきちんと知ったうえで導入を検討することが大切です。
日本橋、武蔵境、有明にあるサルスクリニックは、駅近の通いやすい立地とカフェのような院内でくつろいで受診いただけます。腹膜透析の導入をはじめ、透析に関するさまざまなサポートも行っています。また、各種検査、健診、在宅医療も行っていますので、透析が必要になるまで病気を悪化させないという予防の観点でもアドバイスが可能です。
サルスクリニックでは、たとえ病気であっても患者さんがその人らしく生活できるようにサポートします。ご自身に合った透析方法についてのご相談などをご希望でしたら、ぜひ一度ご相談ください。
※サルスクリニックの健康診断について、詳しくはこちらをご覧ください。